願いの愛し子と緑の剣【ソラリア学園魔法科】 (ページ30)

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37色目　鳩羽のルーン 4 ページ30

その後、想良たち3人はすぐ外へ連れていかれた。

移動中に知った事だが、先程の“ハヤナ”は予想通り昔陸哉の従者だった“ハヤナ”で、本名を“言無逸那”というらしい。銀髪の子は“榊晶”。身寄りがなく、逸那に助けられ彼を慕っているという。

2人とも、逸那は緑、晶は紫のカラフルの持ち主らしく、自身らの能力を脅しに使い、瑠奈さんとの交渉権を得て私たちの解放を求めたらしい。

全く、絵に描いたような忠誠心だな。想良の言葉に陸哉は嬉しそうにはにかんだ。

あとはトントン拍子で話が進んでいった。

想良と陸哉の魂が暖色な２人はカラフルを永久保存するための人に近い人形、“レプリカ”の研究に。

逸那と晶と蒼李の魂が寒色な3人はカラフルが生き残る為の研究をした。

想良はそこで“研究”の辛さを知る。毎日掛かる重圧も、外の世界を知ったからこその個室の圧迫感も想良には辛かった。

ずっと陸哉を救うために奮闘していた逸那も想良と同じ悩みを抱えていて、想良が17歳になったある日、２人は研究を抜けた。

勿論事前に言ってあったし、やりたいこともそれぞれ決まっていた。

逸那は未だ続く名家同士の戦いを治めるために国の軍執行部隊へ。

想良のやりたいことは、“あるもの”を創ることだった。

｢｢がっこぉ？｣｣

｢そうだ!! 学校だ｣

カラフルを持つ５人に自由はあまり与えられない。だがカラフルを維持させる目的も含め、会うことは比較的自由だった。

想良の宣言に、研究で３徹明けの陸哉と蒼李は目を剥く。

｢なんなんだよ、“がっこぉ”って｣

｢知らないか？下の世界で教養を摘んだものが次の世代に知識を与える場所の事だ｣

“下の世界”というのは空中都市マグナの真下、“日本”と呼ばれた国である。

想良は昔、陸哉に文字などを教わってきた。

下の世界の話を聞いて、その“学校”が出来れば想良の様に最初出来なくても、仲間と共に頑張れる。そう思った。

｢で、名前は？俺つける？｣

｢えぇ？陸哉が？｣

蒼李は心配そうに陸哉を見た。陸哉にはセンスが無いからだ。

｢残念、決めてある。“ソラリア学校”だ｣

何故？と蒼李が聞いた。

｢想良を簡単にして“ソラ”、陸哉の“リ”、蒼李の“ア”で“ソラリア”。２人がいたお陰で私がここにいる。そんな相手が見つかるように｣

想良の言葉に２人が頷いた。

これが、ソラリア学園の前身である“ソラリア学校”の始まり。