37色目 鳩羽のルーン ページ27
元々あまり解明されていなかったカラフルについて、想良、陸哉、蒼李の3人は毎日研究を進めた。
彼らの幽閉された“始まりの庭”と呼ばれるこの場所は、名のとおり大きな庭、泉、大量の忘れ去られた書物や個々の部屋、望んだ物が出てくる祠などがあった。
食べ物はその祠で手に入れたし、3人は普通の子より大人びた性格だったため、大人に頼ることなく研究をしていった。
わかったのは、赤と青と黄のカラフルの詳しい能力。
先代のカラフルたちは何も解らぬまま幽閉され、次第に精神が狂っていったというが、3人はそんな心配もなく成長していった。
あと解明されたのは、カラフルにはそれぞれ“モチーフ”があること。カラフルは“暖色”と“寒色”で能力使用時の消費する物が違うこと。
モチーフというのは、カラフルの能力を最大まで引き出した際にその力が形を得るもので、赤は“夢”、青は“鳥”、黄色は“花”と発覚した。
そして消費するものの話だが、能力行使のたびに
赤や黄色の暖色のカラフルは“命”を、
青や書物に出てきた緑と紫の寒色のカラフルは“心”を少しずつ失う事も解った。
だがそれらの寒色と暖色が近くにいるのなら、その失うもの同士が共鳴し、双方心も命も失わず、逆に増加することも発見した。
その他にも彼らは大人顔負けの発見、魔法を見つけていった。
その中でも、3人の意見一致で“絶対”発動しないと決めた魔法があった。
書物の一角に細かく難解な魔法文字で刻まれていたものを陸哉が解読した。
その魔法の名は、“クレアシオン”。昔、このクロノスや魔法使いを創造した今は亡き神、マグナの力を手に入れられる魔法。
マグナの力……といえば彼女の能力である“願いを叶える能力”だ。そこだけ見れば良い魔法だった。
だが、問題は発動条件とその代償だった。
代償は“全てのカラフルの命と魂”。条件は“カラフルが全て入る素体があること。クレアシオン発動後は素体、カラフル共に死す”
「嫌な、魔法だなぁ」
聞くや蒼李はフードを強く握り、震えた。
蒼李は長かった髪を切ったはいいものの、失敗して、想良が最初着ていたパーカーのフードをずっと被っていた。
色は想良の“色変”で青になったものだ。かわりに想良は何故か蒼李の荷物にあったという薄水色のワンピドレスとシャツを着ることにした。
3人の研究者はその魔法を誰に話す訳もなく淡々と調べていった。
37色目 鳩羽のルーン 2→←36色目 落ちて、空五部子 4
11人がお気に入り
「ファンタジー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ