36色目 落ちて、空五部子 4 ページ26
「それで乗りに乗った陸哉は私に“雲が出てくる方にいたから”って理由で“出雲”、
蒼李には“のほほんとしてて鷹なんてこなさそう”って理由で“小鳥遊”、
そして陸哉は早坂という由緒正しい名字を持ちながらも“位を気にしたくない”とかなんとか言って
“小さな岩の泉”の近くで目が覚めたからと“小岩泉”と名字をつけた」
「え、ちょっとストップ!!」
待ったをかけたのは穹さんだ。話を途中で遮られたソーラは唇を尖らせながら発言を促した。
「……どうした」
「え、ソラさんって蒼李と仲間だったの? それに、“小岩泉”って……」
言いつこちらへ視線が飛んだ。
「私と、同じ名字」
「そうだ。美花はまだ知らなかったな……彼、陸哉が“美花の本当の父親”だ」
ソーラの発した単語に、暫く脳が追い付かなかった。
え、父親? 私の? しかも、ずっと昔に?
ヒヤリと冷や汗が背筋を伝うような感じ。
何故かそれに安堵し、恐怖し、「あぁそうなんだ」と納得を始めた自分への疑問。
リクだけが心配の面持ちでこちらを見上げていた。
「蒼李は……そう。私と陸哉の友達だった。
あの頃はまだカラフルについてあまり解明されてなくて、3人は暇な時間を学ぶことに費やした。
元々文字を読めたのは英才教育を受けていた陸哉だけで、文字は彼が教えてくれた」
懐かしむようにソーラの目が細まる。
彼女の青と黄の瞳は真っ直ぐ射抜くように美花へ向いた。
「陸哉は、元気で仲間思いで、とてもいいやつだったよ。その頃の陸哉なら、逸那。お前の方が知ってるだろう」
「あぁ。俺は駆乃と同じ“五色”の1柱、“言無”の生まれだ。
当時も早坂家に仕えていた俺らの家は幼少の陸哉の剣技と側近を受け持った。
本当に好奇心旺盛で調和を求め、決めたら曲げないやつだったよ。
陸哉が“黄のカラフル”と発覚して幽閉されるまでずっと一緒にいた」
穹さんがそこに割り込む
「ちょっと待って。え、逸那さんも“緑のカラフル”なんでしょう? なら何でその陸哉って人と一緒に幽閉されなかったの?」
良い質問だ。と逸那はいう
「その時はまだ俺が魔法を発動出来なくてな。陸哉が去ってすぐカラフルだとわかり、道中知り合った“紫のカラフル”である晶と共に直談判するため政府へ向かった」
「その時にはもう8年が経っていた。私たち3人は自分等を実験台と考え、ちょうどカラフルの特性を調べていた時だった……」
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