36色目 落ちて、空五部子 3 ページ25
｢え、ちょっと待て。私、何も言ってないよな？ …………何で聞きたいことが解った？｣
幼女の顔は驚愕に満ちていた。黄色い瞳の子は誇らしげに胸を張る。
｢俺の能力はさ、大人達が“カラフル”って呼ぶすごいやつの“黄色”で、人が考えてることや居場所とか何でも知れる能力なんだ!!
大人はそれがほしくて俺を買ったんだってさ。
あ、言っとくけどこの場所に出口は無いよ｣
｢はぁ!? わからないだろ!?｣
｢だから視たんだってー｣
飄々とした態度に苛つき、幼女は黄色の目の男子へ掴みかからんと左足を踏み出した。
が、そこへ割りいったのが先ほどから暫し姿を見せなかった青目だった。
赤目の幼女と違い、光沢のある髪を揺らしながら青目は何かを抱えて来たのだ。
手には、大量の果物。
久しぶりのまともそうな食物に赤目の幼女の腹の虫が鳴き声をあげた。
｢……あ｣
｢ふふっ……食べてどうぞ、美味しいよ｣
温和そうな子だ。それが青目に対しての第一印象。
幼女はその言葉に甘えることにして、果物ひとつ受け取り、かじりついた。
食べたことの無い味だった。プルプルとしていながら甘酸っぱくてのど越しが良い。
お腹に物が入って幾分か気持ちも落ち着いたところで青目は赤目にこの場所について教えてくれた。
この３人は“カラフル”と呼ばれるとても強い能力を持つ魂の持ち主で、悪用されぬよう高値で取引され今軟禁されていること。
黄色の目の“陸哉”は“黄色のカラフル”の持ち主で、“色視”という全てを知る能力の持ち主であるということ。
青の目の“蒼李”は“青のカラフル”の持ち主で、“繋樹”という全てをつなぐ能力の持ち主であるということ。
赤目はそこ以上に蒼李が“男”だったということに驚いた。
皆育てられた環境が普通ではなかったようで大人びてはいたが、蒼李はひとつ年上だが陸哉と赤目は五歳。性別はまだ見分けがつきにくかった。
｢で、君は……あれ、名前、聞いてなかった｣
蒼李は眉を下げ首をかしげる。
だが私は無言で頭を振った
｢……捨てられたから、無い｣
｢えー!? 無いの!?｣
陸哉は大声で叫び、あたりを見回す。そして上に空いた空の見える穴を見つめた。
まだ水色の昼の空だった。
｢“そら”……ってどうだ？｣
｢どうだって、私の名前か？ 嫌だ。そんなありきたりそうな名前｣
｢じゃあ“そうら”!! 絶対他にいない!! はい決定!!｣
｢私の意見は……?｣
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