35色目 青天の霹靂 ２ ページ20
｢……じゃあ自己紹介をしようか、ソウラ。“あれ”を話すにもそれは必須だろ。お前から｣
黒髪の女の人の提案にソーラは頷く。
その女性はよく見ると軍服を着ていて、髪は右側で緩く結んでいるが、キツイ雰囲気が出ていた。
｢そうだな。まず、私は穹たちには“ソラ”、美花には“ソーラ”と呼ばれているが微妙に違う。
……私は“出雲想良ｿｳﾗ”｡“赤のカラフル”だ｣
｢ソラさん……いや、ソウラさんか。まさかあんたが“赤のカラフル”なんて……｣
口を押さえた穹さんに対し、ソウラは笑う。
｢ぷっ……穹、無理するな。ソラでいい。次はお前だよ、ハヤナ｣
ハヤナ、と呼ばれた女性は困ったように眉を下げる。
何故か、本当に理由はわからないがデジャヴを感じた。
｢あー、誤解してるだろうから言っとく。“俺”は“男”だ｣
｢はぁー!?｣
驚きの声を隠せないまま、皆ある方向へ顔を向ける。
皆に顔を向けられた彼はハッとしてから叫んだ。
｢俺を見るな!! 確かに美花に間違えられたけれども!!｣
｢よっ響輝御姉様!!｣
｢穹うるさい｣
じゃれあう２人。その様子に吹き出しながらも逸那は続けた。
｢確かに俺は男だ。だが君と違って“体は女”。諸事情があってこの体にいる。俺は“言無逸那ﾊﾔﾅ”。今は違うが前は“緑のカラフル”だった。
……君、穹。ちょっと良いかな｣
名指しで呼ばれた穹さんは小首を傾げ、前に一歩でる。
逸那は目を細め、紅桜……穹さんの武器をだすようすすめる。
反対側へまた小首を傾げながら彼女は紅桜を出した。
紅桜から、１人の少女の靄が浮かび上がる。
着物姿で、年は私より年上。凛とした雰囲気の桜色の髪と紅色の瞳の人。
彼女は逸那さんの事を見つけると、驚き。そして感涙を流した。
｢まさか、その服、逸那……？｣
｢そうだよ、“茜ねぇ”｣
｢茜、ねぇ｣
あっけにとられたように口を開ける。
待って。逸那さんは“元”緑のカラフル？
ソーラが師匠でソラでソウラで赤のカラフル？
逸那さんと穹さんの紅桜が姉弟？
わからないことだらけの私たちを置いて、２人は話を進めてゆく。
｢だから言ったろう。その話は混乱するから後でと｣
｢なら今から話せば良いさ｣
｢まぁそうだが……まさか、お前の兄弟の話までいれる気か？｣
｢勿論さ｣
２人の議論が続く。
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