願いの愛し子と緑の剣【ソラリア学園魔法科】 (ページ17)

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34色目　杜若の夢荒らし 3 ページ17

どうしたら良い。どうしたら良い!?

パニックになりながら、ポケットに入れていたエリとミツキちゃんのネックレスを右手でいじる。

何かしていないと、狂ってしまう気がした。

チャリチャリと音をたてるネックレスチェーン。その音の中に、微かな｢カサッ｣という音が聞こえた。

不思議になって取り出す。

｢……は？｣

何で、ソーラにもらった地図がここに……？

中身を確かめると、やはり夢の中で貰った空色のメモだった。

ポケットに戻そうとしてから、あることに気づく。確かソーラは、『学園に君らの居場所は無いかもしれない。だからその時は皆を連れてここに来るんだ。何でもある』と言っていた。

たかが夢の中の話。当たるという確信は無い。普通なら、信じない。

……だが、今は絶体絶命の状況。これ以外に道が無いのなら、やるしかない。

意を決して、言い争いを続けている響輝さんの肩を叩く。

｢どうかしたか｣

｢はい。あの……逃げる場所、確実では無いんですけど、心当たり、あり、ます｣

｢本当!?｣穹さんが顔を明るくした。でもすぐに傷口にきたのか顔を歪める。

｢……一か八かになるんだね｣

｢はい。でも賭ける価値はあると思います｣

真剣に頷いた。しかし穹さんは一向に頷き返そうとはしない。

そこに、誰かが控えめに手をあげる。もう、蒼李は青い鳥の大群は目前に迫っている。

手をあげたのは、宇流ちゃんだった。彼女は怜希を人の形に戻すと、彼に少し耳打ちして、こちらを見つめた。

｢穹さん、“自分が万が一十分な時間を稼げるか”って考えてません？｣

図星らしい。穹さんは目を背けた。

それに畳みかけるように宇流ちゃんは言いはる。

｢私は穹さんほど近距離戦に向いてません。でも中距離の、時間稼ぎなら適任だと｣

有無を言わせない言いっぷり。

宇流ちゃんは私にメモを見せるよう言い、メモをしばらく見てから、首を鳴らす。

｢本当は見せたくなかった……“ストック”、“優蔵舞弥”、“火炎”｣

彼女が呟き、大きく息を吐き出すとそれは大きな火炎となり青い鳥を燃やした。
視界が開けたと同時に蒼李のいない方へ。

荷物を勢いで取り、そのまま全速力でメモの場所へ駆け出した。

後ろから、凄まじい攻防が風を巻き起こしているのを感じる。

｢さぁ、早く!!｣

宇流ちゃんは少し此方を向いたが、すぐ蒼李の元へ雷を従え飛び出していった。