33色目 パペット・バーミリオン 4 ページ14
「私、ぬいぐるみ壊されて。もう、自分の作った仲間や、ぬいぐるみを壊れるのが嫌!」
また泣き出す彼女に持ってきていた手提げからあのクマのぬいぐるみを差し出す
「使ってください。これなら瑠羽さんは作ってません」
手を出しかけ、それから彼女はすまなそうに引っ込めた。
「でも私は、そのぬいぐるみは美花ちゃんの......」
私はニッコリ笑うと手提げからある物を取り出した。それは......
「スケッチブック?」
「正解です。魔法の、ですけど」
私は敵が駆乃に惹き付けられてるのを確認してからスケッチブックを広げ、鉛筆を滑らせる。
駆乃は前にこんなことを言っていた。
『私も、剣とかあれば威力あがるかな』
……その願い、叶えてやろうじゃないの!!
モノクロに書き上げられた紙の中の大剣に触れると、紅と金の装飾の映える大剣の“絵”が出来上がった。
「剣......でもそれって絵だよね。今なんで」
「瑠羽さん」
少し冷ために呼ぶと瑠羽さんは少し肩を震わせた
「闘うのは自分じゃない。自分は弱いって言いましたよね」
「え......あ......う、うん」
頷くのを確認してから絵に手を当てて、願う。
「自分が弱くて闘えないなら、私は闘ってくれる人の役に立ちたい!」
本心を叫ぶと、絵が白く光出した。
極め付きに、叫ぶ
「“具現化絵巻”!!」
流れ星のように勢いをもった光がスケッチブックから放たれた。
それは駆乃の手に落ち、光を増しながら形を成していく。
「駆乃!」
その絵から飛び出し、駆乃の絵に握られたのは
「大剣?」
絵に描いた紅と金の装飾の映える大剣だった。
「何、コレ。幅広だし、軽いし、カッコいい……」
駆乃は出された大剣を振りかざしながら呟く。
皆の視線が駆乃にいくと、痺れを切らしたのか怪物が駆乃に突っ込んでゆく。
「駆乃っ」
穹さんが怪物とコンマ差で飛び出すが間に合わない。
駆乃もいきなり動けず大剣で受け止めた。
衝撃波で校庭の砂が煙の様に巻きたつ。
「駆乃ーっ!」
砂のやんだところを見ると、駆乃は怪物の全体重のかけられた一撃を大剣ひとつで受け止めていた。
「うわぁー。あっぶなぁ」
少し力を込めた様子で大剣を押し返して、駆乃は怪物の頭上へ飛び立つ。
「ちょっと、あれさぁ体重かけて殺ろうとしてない?」
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