violet (ページ2)

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「A 、A … 」

誰かに呼ばれているような気がして目が覚める

眩しい日差しが視界いっぱいにひろがる

辺りを見回せば色とりどりの花が咲く草原と
果てしなく続く大きな川があった

目を凝らして見ると遠く反対側に岸があり多くの人々で賑わっているようだった

こちらの岸にも同じく人が溢れていたが

涙を流している人

安らかな表情をしている人

怒り狂っている人

または絶望的な表情をしている人

向こう側とは異なり
一人一人が様々な感情を持っているようだった

此処が何処なのか

いつだったか現世とあの世を繋ぐ大きな川があると聞いたことがある気がする

よく見ると私が身につけている服は制服から真っ白なワンピースに変わっていて

「私本当に死んだんだ」

呆気ないなぁと我ながら苦笑いする

だがそう実感してしまったら駄目だった

「…っ…う…」

堰き止められていたものが一気に溢れ出してしまう

止められなかった

突然ふわふわと何かに抱き締められるような感覚に包まれる

視線を向けるが視界が滲んでよく見えない

「お嬢さん、どうしました？」

どうにか涙を止める

目の前に立っていたのは

"ジノ"

と名乗る可愛らしい男性だった