私とナイスガイと。 (ページ3)

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２月末。

私が言うのもなんだけどお姉ちゃんっ子だった祥彰からの電話があった。

高校入ってすぐは月１のペースで、

｢姉ちゃん寂しくなーい？｣

とか、

｢欲しいものなーい？｣

とか、あったんだけど。

私が大学に入った頃は祥彰も大学受験の歳だったから、

｢親戚の○○さんのお嬢さん結婚したらしいけど、この日の式来れそう？｣

とか、

｢今年のお盆はこの日に帰るから、お母さん達の楽しみの為にもこの日以外に帰ってあげて。｣

とか、結構業務的な内容が多かった。

なので、着信が祥彰からだと、身構えてしまうのだ。

今度は何があったんだ？

とか思いながら電話に出る。

｢凜夏です。｣

｢あ、姉ちゃん？祥彰です！今大丈夫？｣

｢全然。｣

｢お姉ちゃんライターの仕事興味ない？｣

｢...はい？｣

｢東大王で有名な伊沢さんがね、姉ちゃんにクイズノックのライターになってほしいって。｣

ちなみに、クイズノックは祥彰が入った頃に電話がかかってきて、それから動画も見ているからどのような団体なのかも知ってるし、最近見るYouTubeのチャンネルは彼らに絞られている。

｢別にいいけど、今から探しても東京に住む場所無いんだけど。｣

｢あー、それはねぇ、伊沢さんがオフィスの空き室貸してくれるって。｣

あのとき、何故か承諾してしまった私は、４月から住み込みで働くはめになってしまったのだ。

ちなみに承諾した２日後、私が入りたかった出版社から内定の電話が来た。