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37.食事 ページ39

私はお子様用と書かれたイラスト付きのパネルを無視し、表紙が金の文字で書かれたメニューを覗き込む。

如何にも高級な雰囲気が出ているものだから、料理もてっきりお洒落なコース料理なのかと思っていた。
然し良質な素材や方法を使っているからだという様で、メニューには見慣れた料理名が並んでいる。

「中也さん、私決まったので」

そう云ってメニューを渡す。
深い溜息をつきながら、彼もチラリとメニューを見た後すぐにウェイターを呼んでいた。

そして先程と別人かのように落ち着き払った様子でウェイターに話しかけている。
切り替え速いなぁ

「おい、手前は?」

「此のデミグラスソースのハンバーグ250gと食後にチーズケェキを」

ウェイターは短く返事をした後、足早に去っていった。
中也さんは此方を見てポカンと口を開けている。

「手前……凄いな」

「普通じゃないですかね」

私は気にする様子を見せず答えた。







「本当にあの量を一人で……」

中也さんがカードを財布に仕舞い乍呟く。
そして彼は引き気味だ。

空腹なら、あの量は普通に入るのでは?

「女子でも幼女でも、食べようと思えば誰でも食べれますよ」

「手前だけだ」

軽く頭を叩かれた。
痛いです、何て云いつつも笑う。

此の人と長時間喋っていると、趣旨を忘れそうになるから怖い
そう思った矢先、彼の脚も止まった。

私は気に掛けずに、そのまま歩く。
波がぶつかる音だけが私達の間に響いている。

「さて……巫山戯るのもこれくらいだ。
そろそろポートマフィア(うち)に来てもらうぜ?」

「それは嫌ですねぇ」

其処で脚を止めた。
中也さんからは先程までの表情は消えている。

さて、貴方は気が付いているでしょうか?

「私にはやる事があります。だからポートマフィアに行く訳にはなりません
だけど、中也さんが黙って帰してくれる筈もない。
だから____」

ニヤッと笑う。
中也さんは気が付いたようだ。
忽ち中也さんの顔が曇っていく

「強行手段に出ます」

その直後、建物の影から……


太宰さんが顔を出す。
流石としか云い様のないタイミングだ。

「やあ中也。逢いたくなかったよ」

「煩ェ、此方の台詞だ糞鯖。

だが、何故此処が分かった?
一条の鞄は俺が____」

「此れですよ」

私は手を開いてみせた。

38.作戦成功→←36.悪戯



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月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います!更新させていただきました! (2018年5月14日 16時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません!沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです!応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです! 次の話を期待して待機してます(●´ω`●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月城捺樹 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年10月14日 18時

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