夢主に振られたからって私に相談しないでください

第五十話　フラれた ページ13

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「あの、お礼させてください!!

何か買うだけでも…」

その言葉に条野さんも鐵腸さんも唖然としている中で

私は反射的に“は?”という言葉を発する

無論驚いただけで嫌ではないがそういうのはできかねる

軍警、及び警察は市民からの差し入れ等を

断固として禁じられている

プライベートなら大丈夫だが、

生憎関わりの薄い躑躅森さんとはそうもいかない

躑躅森さんには悪いがここは断らざるを得ない

『申し訳ありません、

そういうのは禁止されてますので』

そういうとあからさまにしゅん、とする躑躅森さん

心なしか下がってる犬耳と尻尾が見える

くっっそ、罪悪感抉ってきやがって

「差し入れがダメなんですか?」

そう言ってはハッと何か気づいたように

顔を上げた躑躅森さん、もういいって帰らせてくれ

『まあ、原則はそうですね』

「なら、今から何処か奢らせてください!」

無理言わないでくれ!!抑もそんな関わりなかっただろ!?

何を急に言い出すんだこの人は、勘弁してくれ!

そう思うも必死にその感情を抑える

「食事くらい良いのではないか?別に違反ではない」

ふと声をかけてきたのは鐵腸さんだった

空気読めよ上官!!!

鐵腸さん隣見てみ?条野さんが引いてるって!


まあ、そうは言っても条野さんは引いてはいるが

助け舟を出してくれる様子はなく、まさに八方塞がり

『………機会が、あれば』

そう渋々社交辞令の言葉を返すと躑躅森さんは

みるみるうちに顔を明るく輝かせた

「はい、是非!じゃあ連絡先交換しましょう!」

眩しい程のその笑顔に連絡先を交換せざるを得なかった


躑躅森さんと連絡先を交換したのち

私は今度こそ帰ろうとくるりと踵を返した

すると後ろから肩を軽く叩かれ少し振り返ると

条野さんの顔面国宝級の顔がドアップで

私の視界に映り思わず私は息を呑んだ

「今日はありがとうございます

私の無茶振りによく付き合ってくれました」

無茶振りしてた自覚はあったんだ…

『いえ、助けて頂いた借りを返させて頂いたまだです』

そういうと条野さんは満足気にニコリと笑った

「鐵腸さんと同じタイプかと思いましたが

貴女はあの人と違い優秀ですね」

『勿体無いお言葉です』

そう云い私はやっと家に帰ることができた

玄関のドアを開けるとふと、こんな考えが思い立った



あれ、私何気にフラれた…?



そのことが判った途端私はリビングで月下獣に

そっくりなぬいぐるみに顔を埋めて泣いた









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