新入社員は元幹部補佐【太宰治】

『優しさ』 ページ21

中也side

任務が早めに終わりクタクタになって家に帰った。が、

「……何で手前が此処に居ンだよ…」

其処には半泣きのAが居た｡

『嗚呼、お帰り中也』

「否、お帰りじゃねぇだろ……で？何で俺の家判った」

此奴のことだ。何と無くとか云うのだろう

『GPS』

「は？」

予想外の返事に少し驚く。
……でも此奴ならやりかねない

「GPSぅ？何処に……」

『此処』

そう云い頭を……否、帽子を指差す。

「帽子って……あ？何も無いぞ」

『……阿呆？貸して｡』

「え"」

露骨に厭な顔をすると舌打ちをされ少し乱暴に帽子を盗られる

「なっ!?オイ！」

『盗られるのが悪いのさ』

そう云いながら帽子の装飾から小さな物……GPSを取り出す

「うわ……何時入れたンだ？」

『内緒』

内緒、か｡全く……

……あ

「そう云えば手前何で俺の家に居ンだよ？俺嫌いだろ？」

『嫌いだけど……此処には治は多分来ない。』

治……青鯖か｡
此の調子だと喧嘩だろう

「はあぁ……さっさと仲直りしてこいよ」

『……厭だ』

「あ？」

『……うぉう!?判った判った‼判ったから異能発動しないで‼』

……そんなにビビンなくて良いだろうに…

『はぁ〜……じゃあ帰るけど、』

ドアが閉まる直前で振り向き軽く微笑んだ。

『中也は優しいね』

ﾊﾞﾀﾝ……

「何処がだよ……」

誰も居ない空間に声が響き

「罪滅ぼしの……偽りの優しさってこと、判ってるだろうに」

そして、消えていった

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