Ep.26・コナンside ページ29
その人を見つけたのは、本当に偶然の出来事だった。学校が終わって、事務所に帰ってランドセルを放り、考えをまとめながら向かった、一ヶ月前の事件現場。警察の捜査も退いたその場所は、廃ビルの名に相応しく人っ子一人いそうにない。
博士の家でご飯を食べるから、と蘭には伝えているが、日の傾いてゆく街の景色に、早く調べようと足を踏み出さんとした時のことだった。
宮下さんに、会ったのは。
隣にどこかの高校の制服を着た男子生徒をつれていた。前よりも親しみのこもった表情で、彼女は笑った。
一応関係者であるからと、今まで起きた事件の概要を話したが、二人揃って絶句された。事件遭遇率の高さは普通じゃない自覚があるが、そんな憐れむような顔してほしかったわけじゃない。
すると、宮下さんが俺の両肩をガシリとつかんで、俺は驚く間も無く、クルリと百八十度向きを回転させられた。なんだなんだと混乱しながらも、背後に聞こえた何かが空を切り裂く音。
俺の理解が及ぶ前に、彼女は「よし、もういいよ」と。おまじないをしたのだと言う。
全くもって、何もかも、わからない。ただ、肩が少し軽くなった気がした。そのくらい。彼女は何かをしたということが、つまり何をしたのかは全くわからないということだけが分かって、後ははぐらかされた。
「コナンくん、あんまり遠くに行っちゃダメだよー」
「はーい!」
ビルの中に入り、足早に歩き始めた俺を見て、宮下さんはそう言った。注意が小学生レベルだ。小さくなっても頭脳は同じ高校生であるが、それでもやっぱり俺の体は小学生なのだった。
「先生、二手に別れよ。俺向こう見てくるわ」
「うん、よろしく。何かあったら教えてね」
「了解!」
何故か事件の関係者ではない虎杖が単独行動をし始めた。宮下さんもそれを許す。この場合は関係者の俺と彼女が二手に分かれるべきじゃないのか。そんなことを思いつつも、元々一人でくるつもりであったので、何か情報はないかと俺は気にせず現場を探る。
「何か探してる証拠があるの?」
「いや、実はそういうわけじゃないんだ。今回の事件、遺体がかなり悲惨なことになっているんだけど………人為的なものなら必ずトリックがあるはず。でも、何があったのかさっぱりわからない。………きっとまだ推理するための情報が足りないんだ」
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時