陌貳拾壹 ページ28
街を、走る。
「暉柱様だ、暉柱様が来て下さったぞ!!」
「良かった、これで安心できる。暉峻様、相手は上弦です。気を付けて下さい!!」
「あっちです、あっちの方で今恋柱様が戦っています!!」
怪我をしながらも必死に情報を伝えようとする幾人もの刀鍛冶に誘導されながら、所々木々が薙ぎ倒された森の中を駆ける。
次第に濃くなる鬼の気配。刀が風を切り裂く音と独特な呼吸音が確かに聞こえる。
森を抜けたその時、血を流しながら戦う女性がよろけたその瞬間を狙って、無数の竜が襲いかかった。
血鬼術 無間業樹
全解放・暉の呼吸 志那都ノ舞
全ての竜が跡形も無い程切り刻まれ、その場に崩れ落ちる。その隙に彼女を抱えて、その場から飛び退いた。
「大丈夫でしたか、蜜璃さん。」
「えっ、Aちゃん(ぎゅん)!!」
突然顔を真っ赤にして苦しそうに胸を押さえた彼女を心配しつつ、鬼の方を見やる。
五つの太鼓を背負った、少年の様な姿をした鬼は、驚いたように此方を凝視していた。
「暉峻の娘、貴様が一体何故此処にいる!?……お前はあの者達に任せて、いや、足止めにもならなかったという事か。」
攻撃を止め、何か独りでぶつぶつと呟いているその隙に、蜜璃さんは私の耳元で囁いた。
「Aちゃん、私はもう大丈夫。炭治郎君達に加勢してあげて。彼等は今本体を追っている筈だから。」
「…分かりました。くれぐれも気を付けて下さいね。」
彼女を下ろせば、再び鬼の前に立ち、大きく声を張り上げた。
「此処は私に任せて、あの子達の元に行って!!」
その凛とした逞しい背中に、懐かしいあの人の姿が重なったのは気の所為だろうか。
迷うことなく彼女に背を向け、鬼の気配がする方角へと走り始めた。
126人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
酸漿(プロフ) - きなこ餅さん» 有り難う御座います。これから続編を書いていくので、そちらの方も是非お楽しみください。 (2019年10月20日 21時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅 - たくさん伏線がはられていて、読む度にドキドキします! これからも更新頑張って下さい! (2019年10月19日 21時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 神桜佳音さん» 嬉しいコメントありがとうございます(^-^)励みになります。これからもどうか宜しくお願いします。 (2019年10月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - ようやく納得しました…!話が深い…。辛い。けど、すごい好きです!無理されないで更新されてください!続き待ってます! (2019年10月10日 19時) (レス) id: 78c574c661 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:酸漿 | 作成日時:2019年9月21日 18時