伍拾陸 ページ10
「蜜璃さん、此処は私に任せて下さい!!」
「分かったわ! 気を付けて!!」
男を牽制しながら彼女を行かせる。骸骨達は、彼女の後を追い その場からいなくなった。
「行かせて良かったのか? お前一人では勝ち目が無いと思うぞ?」
にぃっと弧を描いた口元に、尖った犬歯が覗く。男は蝙蝠のような羽を広げ、空に羽ばたき 此方を見下ろした。
「…私を舐めているのかしら?」
「柱と言えども所詮一人だ。私の硬い頸は斬れまい。」
余程己の実力に自信があるのだろう。事実、その鬼気に気圧されたのは確かだ。
けれども、打開策はある。
全集中・暉の呼吸
それは祭具を片手で握って、力強く地を蹴り、動きに緩急を付けながら舞台を駆け回る舞い。
姿を消し 相手を撹乱させる。今までに戦った鬼の中で、この動きを見切られた事はない。
男は、動かない。今なら頸を斬れる。男の背後から刀を振り下ろして___
「遅いぞ、小娘。」
血鬼術 宵の真鑓
次の瞬間、男が振り返って 此方に向けられた手から黒い槍が放たれた。首を捻ってそれを避け、腕を斬り落とし後ろに下がる。
「今の攻撃を避けた奴は初めてだ。」
…やっと確信した。この男は、
「ねぇ、目が見えないんでしょう?」
空気が、揺らいだ。
「…何故そう思った?」
男は笑顔を変えない。それは動揺を隠す為か。にやりと笑みを浮かべて、切っ先を男に向ける。
「目の焦点が初めから合っていなかったもの。攻撃の仕方から察するに、貴方は恐らく超音波で私達の位置や動きを把握している。」
目が見えない事は勘づいていた。だからこそあの骸骨達を自由自在に操るのは難しいと思い、別の鬼がいるという可能性に行き着いた。
だがとても厄介な能力だ。今の反応速度から察するに、目眩ましは勿論 どの角度からの攻撃も反撃されてしまう。裏を掻く為、考えなければならない。
…それと一つ、確かめたい事がある。
「ねぇ、貴方。
男が、一歩下がる。
「な、何故だ!? 何故知っている!? 私達の存在は認知されぬようあの御方も散々注意を払ってきた筈だ!!」
初めて、男から余裕の面が剥がれ落ちた。
「その呼吸の仕方、そうか、思い出した。思い出したぞ。お前は
でも何故だ? 何故此処にいる? お前達一族は
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山梨 - 素晴らしい作品をいつもありがとうございます! 続きを楽しみに待っています! (2019年8月26日 23時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 分かりました。ありがとうございます! (2019年8月2日 17時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 零さん» 有り難う御座います。基本原作通りですが、どんどん活躍させていくので、これからも宜しくお願いします。 (2019年8月1日 0時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - すみません、作者様の漢字の読み方がわかりません。ひらがなで教えていただくとありがたいです。 (2019年7月31日 22時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公の活躍が楽しみです。 (2019年7月30日 14時) (レス) id: 6ffd920b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年7月27日 16時