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伍拾參 ページ7

「よし、次に行こう。」


刀を収め、一息つく。後片付けは隠に任せ、次の任務地に向かおうとしたその時だった。


「カァ、カァ! オ館様カラノ手紙ダ! 早ク戻ッテ読メ!」


集会所から戻ってきた鴉が、肩に止まり 耳元で叫ぶ。


「今日ハ其処ノ藤ノ家デ休息ダァー! 早ク風呂二入ッテ飯食ッテ寝ルゾォ!!」


「ちょ、もう深夜だから静かにしてくれないかな?」


「何時振リノ休ミダト思ッテンダ! オ前ハ真面目過ギルンダヨォ! チッタァ休メェ!!」


興奮して甲高い声を出す鴉を宥め、溜め息をつきながら 近くの藤の家に足を踏み入れたのだった。









集合場所となっていた甘味処に行くと、桜餅色の可愛らしい髪を三つ編みにした女性が、にこにこと笑みを浮かべながら 大きく手を振っていた。


「Aちゃーん!!」


「蜜璃さん、今日は宜しくお願いします。」


「こちらこそ、よろしくね! きゃー、Aちゃんと一緒に任務に行けるなんて本当に嬉しいわ!!」


笑顔で私の手を取り ぶんぶんと振ってくれるのは嬉しいのだが、その力は意外と強く、必死に地面を踏ん張って耐える。


もし私が一般人なら、彼女の手の動きに合わせて何度も地面に叩きつけてられている、と言ったら分かりやすいだろうか。


「み、蜜璃さん、そろそろ…」


「あら、ごめんなさい! 嬉しくてつい力んでっしまったわ!」


パッと手を離され、思わずほっとする。ごめんなさい、としおらしげに謝る彼女は、相変わらず素直で愛らしいな、と思った直後 意外な人物の名が挙がった。


「私、この前も伊黒さんを張り飛ばしてしまって。私ったら嬉しい事があるとすぐに加減を忘れてしまうのよね。」


…伊黒さん、何をしたんだろう。とても気になる。今度聞いてみよう。


「それじゃあ、Aちゃん。早速行きましょう!」


その言葉に笑顔で頷いて、鬼の潜むとされる“枯骨山”へ出発する。


ただ、懐にしまっている手紙が ずしりと重さを増した気がした。





















「Someone will come.」


女は怯えた様子で暗い洞窟の奥へ身を隠そうとする。


「All right. Because I protect.」


男は女を守るように、その冷たい体を抱きしめ 囁いた。


「Kill all who disturb us.」


青に輝くその瞳には、とある文字が刻まれていた。

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山梨 - 素晴らしい作品をいつもありがとうございます! 続きを楽しみに待っています! (2019年8月26日 23時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 分かりました。ありがとうございます! (2019年8月2日 17時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 零さん» 有り難う御座います。基本原作通りですが、どんどん活躍させていくので、これからも宜しくお願いします。 (2019年8月1日 0時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - すみません、作者様の漢字の読み方がわかりません。ひらがなで教えていただくとありがたいです。 (2019年7月31日 22時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
- 主人公の活躍が楽しみです。 (2019年7月30日 14時) (レス) id: 6ffd920b45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年7月27日 16時

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