捌拾捌 ページ43
力に押し負け、後方に下がる。
…人間だった頃に比べて速さも力も桁違いに強くなっている。
これも鬼と成った恩恵だろう。悔しさに思わず歯噛みした。
「暉峻!」
全集中・蛇の呼吸 伍ノ型
次の瞬間、空翠の手足が斬り飛ばされた。
驚きからか奴の目が見開かれる。当たり前だ、空翠の注意を引く為 私がわざと近付いていたのだから。
此処で斬る!
全集中・暉の呼吸 淤加美ノ舞
慌てて生み出した防御も間に合わない。一瞬で全て砕き、そのまま頸を__
「惜しかったですね、師範。」
血鬼術 玉髄に
ㅤ
左腕が、抉れた。
ㅤ
「え、」
一瞬で視界が赤に覆われる。
不味い、嵌められ、
血鬼術 珊瑚の獄
閉じ込められた上に手足が一瞬で拘束されてしまった。全力で身を捩るがびくともしない。
「其処で大人しく待っていて下さいね。直ぐに片を付けますから。」
空翠は愛おしそうに私を閉じ込めた檻を撫で 背を向ける。その先には、刀を構えた伊黒さんがいた。
「空翠、此処から出せ!」
駄目だ、一人で太刀打ち出来る訳ない。拘束から逃れようと必死に
「抵抗しなければ、楽に終わらせますよ?」
「ふん、若造がこの俺を倒せると思っているのか?」
「はい、俺は強いですから。」
血鬼術 橄欖の驟雨
無尽蔵に繰り出される鉱物の槍を避けつつ、彼は着実に距離を詰めていく。
全集中・蛇の呼吸 狭頭の毒牙
頚は避けられたが、何度も体を抉っている。力は互角だ。けれどもそれでは倒せない。
その時、何か違和感を感じた。
…まさか、
「伊黒さん!!」
全集中・䂖の呼吸
滴り落ちる赤。鮮やかな青の刃が、腹を貫通している。
「…チッ、分身か。」
空翠はゆっくりと刃を引き抜き、伊黒さんはその場に崩れ落ちた。血が、地面に広がっていく。
「呆気なかったですね。さて、止めを刺しましょうか。」
鬼は動かなくなった伊黒さんの側に寄り、未だに動けずにいる私を嘲笑うかのように刃を振り上げた。
「目の前で何度も大切な人を失って、」
尖った犬歯を剥き出しにして、鬼は笑う。
「師範。貴方はまるで鬼に奪われる為だけにある人生のようですね。」
刃が、振り下ろされた。
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山梨 - 素晴らしい作品をいつもありがとうございます! 続きを楽しみに待っています! (2019年8月26日 23時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 分かりました。ありがとうございます! (2019年8月2日 17時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 零さん» 有り難う御座います。基本原作通りですが、どんどん活躍させていくので、これからも宜しくお願いします。 (2019年8月1日 0時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - すみません、作者様の漢字の読み方がわかりません。ひらがなで教えていただくとありがたいです。 (2019年7月31日 22時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公の活躍が楽しみです。 (2019年7月30日 14時) (レス) id: 6ffd920b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年7月27日 16時