陸拾 ページ14
全集中・暉の呼吸 天菩比ノ舞
全力で刀を振るい、繰り出した技の勢いで吹き飛ばそうとする。だが払いきれなかった冷気が脚を凍りつかせた。
「くっ、こんなもの!!」
脚に力を集中させ、凍りいていた氷を砕く。
地面に着地した瞬間、爪が振り下ろされた。次々と振り下ろされるそれを交わしつつ、男の顔辺りまで一気に飛躍する。
男の目を狙って一太刀を浴びせ、視界を奪った次の瞬間、狙ったかのように男の体から分裂した蝙蝠が飛び出した。それと同時に男は大きく翼を動かし、突風が巻き起こる。
その風を巧く巻き取って螺旋状に斬撃を展開し、襲い掛かってきた蝙蝠達を斬り続けた。
着地後脚に力を溜め 低姿勢で一気に男の足元を走り抜け 両手両足を深く斬りつける。体勢を崩させようとしたが、一瞬で再生してしまう。やはり一筋縄ではいかない。
男にはもう蝙蝠の面影はない。今は蜥蜴に翼が生えたような姿だ。且つ優に百八十尺はありそうな巨躯で、歩くだけでも脅威となるだろう。
もしこの男が今の姿で街中で暴れまわったら、と想像して寒気がした。
絶対に今、仕留めなければならない。
「If you surrender now, I will not hurt you any more.(今お前が降伏すれば、私はお前をこれ以上傷つけない。)」
男が冷たく此方を見下ろす。…降伏、か。出来るだけ私を無傷で捕らえたいんだろう。
「…それなら、私も本気で応えましょう。」
刀を、構えた。
全解放・暉の呼吸
さぁ、
反撃の始まりだ。
男は、甘く見ていた。
幾らあの一族の者であっても相手は女一人。どんなに強かろうともたかが知れている。
何をしようとも所詮無駄な足掻きだ。これで決着をつけよう、と女に前足を振り下ろし、
「ガッ、ア"アアァ!!」
痛みで目を見開いた。
伸ばした足は、
まさか 誰も傷付ける事さえ成功したことがなかった私の硬い腕を、あの女がこの一瞬で両断したというのか!?
私の体を自在に駆け回る女を、目で捉えきれない。いや、どういう訳か気配が感じ取りにくい。今まで手加減をしていた?…不味い、非常に不味い。本能が訴えている。
頸を、頸を守れ!!
慌てて手で頸元を___
「去らば、糜砕の紡ぎ手よ。」
その瞬間、鋭い痛みが走った。ぐらりと視界が下に落ちていく。
「そんな、ば、馬鹿な…」
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山梨 - 素晴らしい作品をいつもありがとうございます! 続きを楽しみに待っています! (2019年8月26日 23時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 分かりました。ありがとうございます! (2019年8月2日 17時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 零さん» 有り難う御座います。基本原作通りですが、どんどん活躍させていくので、これからも宜しくお願いします。 (2019年8月1日 0時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - すみません、作者様の漢字の読み方がわかりません。ひらがなで教えていただくとありがたいです。 (2019年7月31日 22時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公の活躍が楽しみです。 (2019年7月30日 14時) (レス) id: 6ffd920b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年7月27日 16時