伍拾捌 ページ12
前足が、振り下ろされる。
疾い。地を蹴って横に回避する。大きく窪んだ地面を見て、一撃でも喰らえば人溜まりもないと嫌でも分かってしまう。
その直後男は何かを腹の中に溜めるような動作をした。まさか、と過った想像に汗が流れ落ちる。
血鬼術 天壌の劫火
炎が、口から吐き出される。寸前で交わし、空高く舞いながら次の攻撃に移ろうとした瞬間、目が合ってしまった。
不味、
血鬼術 琉落の夜
目の前に、冷気が、
「やっと見付けたわ!」
一方甘露寺蜜璃は、次々と襲い掛かってくる骸骨達を斬り倒しながら進み続け、操者であろう鬼を見付けた所だった。
艶やかな黒髪の、美しい女の鬼だ。女は見付かってしまった事に焦ったのか、骸骨達に女を守らせるよう隊列を組ませた。
他の鬼殺隊が見れば、その数に絶望するだろう。しかし甘露寺蜜璃は怯まない。その脚を決して止めない。
「貴方を殺すのは心苦しいけれども、早くAちゃんの元に行かないと!!」
全集中・恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ
一瞬で骸骨達を斬り刻み、女の頸に刃を巻き付け斬り落とそうとしたその時、
「私を甘く見ないで下さります?」
金属と金属がぶつかりあったような甲高い音が響き渡った。
思わず目を見開く。彼女の頸の前で交差された手の平から、白く尖った骨のようなものが刃を阻んでいた。
油断した。女から距離を取って、刀を構え直す。骸骨達を精密に操っていた事から、てっきり近接戦が苦手だと思っていた。
「接近戦が苦手であると騙して 油断した所をこの私の骨で貫き殺してあげましょうとしたのに。残念ですね。」
女の太股から鋭利な一本の骨が出てくる。それを女は掴み折ると、剣のようにそれを構えた。
「仕方無いですね。取って置きのこれで勝負して差し上げます。」
幾らひ弱そうな女に見えても、相手は数多くの人間を喰らってきた鬼だ。それに加え、どんな剣技を使うか分からない。警戒するに越した事はないと、呼吸を整え 全力で斬りかかった。
全集中・恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風
繰り出される技の速さに、女は防戦に徹して反撃出来る余裕はない。其処で確信する。剣技は自分の方が上回っていることを。
実際にそれは事実だった。しかし次の瞬間、悪寒が体を走り抜けた。反射的に防御の姿勢を取る。だが、
「あはは、素晴らしいですね。でも遅いです。」
次の瞬間、強い衝撃が全身に襲い掛かった。
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山梨 - 素晴らしい作品をいつもありがとうございます! 続きを楽しみに待っています! (2019年8月26日 23時) (レス) id: 3d1d19266b (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 分かりました。ありがとうございます! (2019年8月2日 17時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 零さん» 有り難う御座います。基本原作通りですが、どんどん活躍させていくので、これからも宜しくお願いします。 (2019年8月1日 0時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - すみません、作者様の漢字の読み方がわかりません。ひらがなで教えていただくとありがたいです。 (2019年7月31日 22時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 主人公の活躍が楽しみです。 (2019年7月30日 14時) (レス) id: 6ffd920b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年7月27日 16時