肆拾伍 ページ48
もし
あの瞬間君に会わなければ、
未来はきっと、
「ただいま、東京。」
夜に映える鮮やかな
大きく吸い込んだ空気は少し埃っぽかったが、やっと帰って来れたのだと改めて実感した。
彼は、煉獄さんは元気だろうか。あの日からずっと手紙でしか話していない。
早く、会いたい。勿論任務で忙しいだろうから、早くとも数日後になるだろう。
彼の事を思い出すと、胸がぽかぽかと温かくて思わず笑みが零れてしまう。色付いた頬を、両の手で包み込む。
…取り敢えず、休息だ。鴉を先に行かせて、自分はゆっくりと街を歩く。
久しぶりの街を、少し堪能したかった。ただそれだけだった。
街を歩く。夜にも関わらず明るい街並みを、多くの人が行き来する。
その時だった。
ㅤ
甘い、蝋梅の香り。
ㅤ
今のは、気の所為…
いや、そんな筈はない！
「待って！」
道行く人々を必死に押し退け、肩を掴む。
ゆっくりと振り返り、目が合った。
あぁ、あの頃と何も変わらない。
「ねぇ、はく」
その瞬間首に強い衝撃が走って、意識を喪った。
ゆっくりと目を開いた。高い天井が目に入り、起き上がって辺りを見渡せば、布団に寝かされているのが確認出来る。
「あら、お気付きになりましたか。」
近くで食事の準備をしていたのは若い女将だ。
「鬼狩り様、さぞかし疲れていたのでしょうね。街中で気を失った所を、親切な人が此処まで運んできてくれたんですよ。」
では何か用がありましたらお呼びください、そう言い残して彼女は部屋を出ていった。
起き上がって、先程あった出来事を思い返す。
夢なんかじゃない、間違いなく本物だった。
ぐっと拳を握りしめた次の瞬間、開け放たれていた窓から鴉が飛び込んで来た。
「緊急事態ィ、緊急事態ィー！ 急イデ炎柱ノ元へ参レェェ！！」
柱の、緊急事態…まさか！
飛び起きて羽織に袖を通し、鴉に向かって叫ぶ。
「早く、彼の元へ案内して！」
付イテコイ、そう言った鴉を追って窓から飛び降り、全力で走り始める。
ばくばくと心臓の音がうるさい。止めどなく汗が流れ落ちる。
どうか、どうか無事でいて下さい！
持てる限りの力を振り絞って、懸命に脚を動かし続けた。
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mikki-(プロフ) - 酸漿さん» ひぇ……お友達さん絵が上手すぎやしませんか？？？？貴方の作品もお友達さんの絵も好きです応援してます！！ (2019年7月29日 19時) (
レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - mikki-さん» 友達が書いてくれたものです。登場人物紹介に載せているのは、角&耳っこメーカー様からお借りしたものです。紛らわしくてすみません。 (2019年7月29日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - 初めまして。質問なのですが、表紙のイラストは酸漿様が描いたものなのですか？教えて下さい (2019年7月29日 18時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 金糸雀さん» その通りです。夢主の母を鬼にしたのも彼です。彼は自ら会いに来るまでは待つ、という約束を律儀に守っています。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - まさか、過去の話に出てきて鬼は上弦・壱ですか？ (2019年7月7日 1時) (レス) id: 359e27b0ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：酸漿 | 作成日時：2019年6月16日 19時
