33話 感じる違和感 ページ35
直也をパートナーにすることを水島さんに告げたあと、早速直也と共にレッスンを受けることになった。
レッスンが始まる30分前に直也と共に歌合わせをしていた。
Aパートが私でBパートが直也だった。既に決められていたパート割りだった。
お互いに示し合わせた訳でもないのに、サビではお互い気持ちいいほどハモることができた。
ユニゾンの部分も完璧だ。
やっぱり何回も同じパートのハモリやフェイクをやってきただけある。
「俺らこのままレコーディングいけるかもね！」
「うん！ありがとう、曲覚えてきてくれて」
私の選択はやはり間違っていなかった。
このままダンスの振り合わせも上手くいくと思っていた。
早速、振付師の方から教わったダンスを通しで直也とやってみた。
「なんか……」
「違う……」
グループとして彼とは何度も同じステージで踊ってきた。ペアを組むことだってあった。
だから呼吸も合ってて、ズレもなく型にはまった完璧なパフォーマンスのはずなのに……
私も彼もどこか気持ちが乗っていない感じだった。
振付師の方は問題ないよと言うが、私は納得がいってなかった。
「もしかして_____ 」と直也が口にする。何か心当たりがあるのだろうか。
「A、他に気になってるメンバーいるんじゃない？」
ふとあの時公園の噴水前で踊っていた秀太の様子を思い出す。
曲のイメージにピッタリであまりにもキレイで見とれてしまっていた。だけど……
「そ、そんなわけ、私は直也となら上手くいくと思って……」
「ううん、俺にはわかる。
歌合わせの時だって、心ここに在らずって感じで」
「……ごめん、直也。
実は私、秀太のことが気になってる。
何回も曲聴いて、歌詞を見ても秀太の踊ってる姿が頭から離れなくて。
でもこれを秀太が歌うってなると声の相性とか安定性とか_____ 」
「それも大事だと思うけど、今みたいに心がバラバラだったら、せっかくのいい曲もパフォーマンスも台無しになっちゃう。
噂に聞いたけどユニットの魔法っていうのかな。
パートナーと心が通じ会えた時、ステージでは大きな輝きを放つことができるって。
その相手は多分俺じゃない」
ユニットの魔法……どこかで聞いたことあるような……
「本当にごめんね。
無駄に時間取らせちゃって」
「いいって。今すぐ秀太んとこ行ってこい」
「ありがとう！」
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作者名：西木野海未 | 作成日時：2021年10月5日 3時
