Dragon girl【ファンタビ】

魔女狩りと逃亡 ページ7

つまり、である。


『……笑えるものなら笑えばいい。我々の中に、魔女がいるのです！ 』


こんな変な集団の筆頭に話しかけられているニュートを引っ張りに行こうものなら、確実に目立つ。下手に動けない。


しかも、薄々は分かってたけれど魔女狩りグループだ。


青い鱗に黄色の目の娘がいきなり……彼女曰く「我が友！」に話しかけに来たら公開処刑はきっと免れないだろう。


「……もっとも、もし私を魔女だって言ったらすぐに解散した方が良いけどね。見る目無いもの」


ポツリと悪態をつきつつも、メラは早々にあの中心に行き着く事を諦めた。


首を傾げた帽子の女性に「ありがとう」とだけ言って距離を取り、少し離れた所で耳を澄ます。


メラには動物の声が聞こえた。人間の声と魔法動物の声は全然違い、キンキンと高く響く。


本当に生まれつき動物の言葉が理解できる人は「人間と同じように」聞こえるらしいから、後天的なこれは副産物みたいなものなんだろう。彼女は聴けても話せない。


何にせよ、ニュートの懐が定位置のポウトラックルが、主人の不安な様子を察知して慌てている為位置は分かる。後で人混みがバラバラに散ってもすぐに会える筈だ……


……と思って居たのだけど。


《コイン》
「……えっ？」


ポウトラックルの焦った声とは違う、明確な固有名詞。コイン、コインと忙しい声が、軽快な響きを持って鼓膜を揺らす。


コイン(キラキラ)、お金(キラキラ)、金貨(キラキラ)。


この手の単語を知ってる動物を、メラは「あの子」しか知らなかった。


「───ニフラー!!!!」


当初の弁えを忘れ、思わず叫んだメラに、後方の観衆の視線が集中する。


そこでようやく同行人の居場所を掴めたニュートがホッとしたように息を漏らしたが、彼女は「マスター！」と口パクで彼を呼ぶ。


回りが気付かない位の些細なアイコンタクト。
銀行に転がり込んでいくのは、彼の大事な。


「待って、待って、ダメよ」


───聴けても話せない事が、こんな所で裏目に出るなんて！


やっぱり動物言語は取得しなきゃ。メラは密かに決意を固め、群衆を掻き分け始めたニュートを慌てて手招きした。

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