捜索とマグル ページ8
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隅々まで磨き抜かれた床に壁。目がチカチカする輝きに、オレンジの室内灯が反射する。
無駄なまでに物々しい入り口の真ん中で、金色のカウンターが存在感を醸し出していた。
入った瞬間に外の冷たく雑多な空間から一変、冷たく機械的な空間に変わるのを肌で感じ、今度は自分達の存在がこの場で浮いたのを確信する。そわそわしてる辺りが特に。
……だけどそれどころじゃないわ。
ニュートがニフラーを目で探し、メラは耳を澄ましてフロアを捜索する……と無言でお互いの役割を確かめあったにも関わらず、銀行員に邪魔されてしまった。
どうやら騒ぎどころか、ちょろちょろ動き回るのも禁止されている場所らしい。
ニュートに手を引かれ、メラはベンチにちょこんと腰掛ける。
普段なら手を繋がれた時点で照れ隠しに振り払ってしまうか、淑女へのエスコートじゃないわ!となんやかんや文句を付けてニュートを困らせて仕舞うのだが……
指先からも彼の焦りが伝わる今、彼女は「端から見るとパパの付き添い」に甘んじるしかなかった。
「やあ、今日は何の用?」
ふと。隣に座った丸い男が明るく気さくにニュートに話しかける。明るいのは口調と見た目だけで、二人にも負けず劣らずそわそわしていたし、表情も何処か緊張で強張っていたが。
「あなたと同じ……」
「パン屋を開く資金の相談に?」
「そう……」
「凄い偶然だ」
そ れ は 苦 し い。
上の空のニュートはパン屋を開く人になってしまった。感覚を研ぎ澄ませながら、メラは苦笑いで鼻をひくつかせる。
このフロアにあんまりにもそぐわない小麦の焼けた甘い匂い。とっても美味しそうなオレンジピールまで香る。……丸い男のトランクから。
「おじさま、だからパンを持ってるの?」
「お、分かるかいお嬢ちゃん。匂うかな、凄い鼻だ」
「
「はは、初めて聞く
マグルに怪しまれないように。軽口で気を引きながら辺りをキョロキョロ忙しなく見渡す二人。
キラキラ!興奮したような声が人間の声を上滑る。
彼女がパッとそこに目線をやり、ニュートも同時に顔を向ける。見知らぬ人のバックに顔をつっこんだ───
「まあ、お互いにベストを尽くすしか無いな」
丸い男から会話の締め括りで差し出された手をスルーして、二人はそこへと駆け出した。
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みかこ(プロフ) - るとさん!読んでくれてありがとう(涙)やっちゃった……こう言うのは勢いだよね((ジェイコブさん良いよね!めっちゃええ人……(尊い)むらむら更新だと思うけどのんびり頑張るね(゜∇^d)本当にありがとう! (2018年12月19日 8時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
木兎宮ると(プロフ) - おお!ついに公開したのだねっ!!(歓喜)ニュートも好きだけど、ジェイコブさんが本当に好き(尊い)ので沢山出しておくれ…(願望)無理せずに更新頑張ってd( ̄  ̄) (2018年12月18日 19時) (レス) id: 68f0c4b0f7 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 衛さん» わああ衛さんまで駆け付けてくださって……感謝の言葉が見つかりません嬉しいです(つД`)ジェイコブさんも大好きなので絡ませて行きたい……ゆるっと頑張りたいと思っておりますので気力続く限りお付き合い頂ければ幸いです(涙) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アイカ@低浮上さん» イメログからありがとうございます!何だか絵だけじゃ物足りない気がし始めてしまって……あれよあれよと勢いで公開してしまいました汗お褒めの言葉までありがとうございます!精進します( ;∀;) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» マボ様に読んで頂けたなんて幸いです(涙)そして恐縮でございます汗応援ありがとうございます!自分なりに頑張ります( ´∀`) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかこ | 作成日時:2018年12月16日 20時