グレイブスと少女 ページ47
出来の悪い子供に話すように、ゆっくりと諭す目の前の男が理解できなかった。一体話が何処に行き着こうとしているのかが、全くもって分からなかった。
けれどそれより、ニュートの安否の方が大事だった。彼が今この時にも殺されてしまっているかもしれない。あの人の事だから何か抵抗はするはずだけど、それで死刑を免れられるとは限らない。
──もし、彼が死んだら?
思考の先は闇だった。もし彼が死んだとして、自分にその先は無いように思えた。
目尻から流れ落ちる涙を感じながら、メラはありったけの憎悪を込めてグレイブスを睨み付ける。彼は肩を竦めてゆるゆると首を振った。
「その気の強さは美点だが……思考の浅さは欠点だ。自分がどれだけ異端で、
彼はイギリス魔法省が管理していた「
真実がどうであっても──これが世間に通じる「事実」だ。この「事実」をありのまま告げれば、誰も彼の死に異論を唱えない」
──君は彼の死の
頭を強く殴られたような、冷たい衝撃で視界を無くした。「そんな」……口を動かしたような気もしたけれど、殆ど反射で意識は無かった。──きっと、声は出なかった。
目を見開いて固まったメラを横目に、グレイブスは更に言葉を重ねる。優しく、宥めるような声音で。
「──だが、安心すると良い。そんなことを口実にせずとも、スキャマンダー君は死ぬ。ミス・ゴールドスタインと共にね。
君が子供の姿だったのが幸いだよ。知っているだろう?"オブスキュラスを生む者"は10歳までに死んでしまう。
あんな死体が出た以上、彼のオブスキュラスだけでは弱いんだ。「宿主」が見付かり、それが死んだ事になってようやくこの事件は終息する。
君は
「……なにを、考えているの」
グレイブスは漆黒のコートを羽織り、メラに背を向けた。優雅な手付きで杖を取り出し、まるで指揮者のようにくるりと回す。姿をくらます寸前に、彼は口許に弧を描いた。
「私とて悪魔では無い。
別人として死ぬ事にはなるが──近いうちに彼の後を追わせてあげよう」
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みかこ(プロフ) - るとさん!読んでくれてありがとう(涙)やっちゃった……こう言うのは勢いだよね((ジェイコブさん良いよね!めっちゃええ人……(尊い)むらむら更新だと思うけどのんびり頑張るね(゜∇^d)本当にありがとう! (2018年12月19日 8時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
木兎宮ると(プロフ) - おお!ついに公開したのだねっ!!(歓喜)ニュートも好きだけど、ジェイコブさんが本当に好き(尊い)ので沢山出しておくれ…(願望)無理せずに更新頑張ってd( ̄  ̄) (2018年12月18日 19時) (レス) id: 68f0c4b0f7 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 衛さん» わああ衛さんまで駆け付けてくださって……感謝の言葉が見つかりません嬉しいです(つД`)ジェイコブさんも大好きなので絡ませて行きたい……ゆるっと頑張りたいと思っておりますので気力続く限りお付き合い頂ければ幸いです(涙) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アイカ@低浮上さん» イメログからありがとうございます!何だか絵だけじゃ物足りない気がし始めてしまって……あれよあれよと勢いで公開してしまいました汗お褒めの言葉までありがとうございます!精進します( ;∀;) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» マボ様に読んで頂けたなんて幸いです(涙)そして恐縮でございます汗応援ありがとうございます!自分なりに頑張ります( ´∀`) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかこ | 作成日時:2018年12月16日 20時