月刊 HELLO 【特別号】 (ページ7)

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夢を喰え！“番外編─繰り返す夢─” ページ7

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──ジリリリッ！

「……！？」
ガバッと市村は目を開き布団から抜け出した。
彼女には汗が尋常じゃないぐらい出ており一人で一点を見つめて何度かパチパチと瞬きをすると、何事もなかったかの様に着替えを始めた。
　じっと黙ってまた一点を見つめる。その先には乱雑に置かれた眠り姫病患者のカルテと夢世界(ドリームワールド)の資料が数枚あった。

「……また、この人の夢世界(ドリームワールド)の時の話か……どうしてこうなったかなぁ……？」

そう呟きながらカルテを手に取った。

「奏ぇー！そろそろ起きないと学校遅刻するよぉー！」
「やべ。……今行く！」
父の声が聞こえると彼女はハッとした様子で着替えを終えダダダ！と階段を下り居間の方に出た。
そこには、父と妹と弟と双子ちゃんの男の子(弟)と女の子(妹)が座っていた。

「おはよう。奏」
「おはよー遅いよーおねーちゃん」
「おはよ。珍しく寝坊ぎみだね」
「「おはよっ！」」

各々彼女の方をみてそう笑いかけた。
市村はほっとした表情を浮かべ笑うと

──嗚呼、今日ものうのうと生きてるんだな。

なんて。

何時もと変わらないでも、何か少し可笑しい世界。

懺悔しても何も変えりゃしない世界。

そんな世界で市村(アタシ)は生きている。

外をふと見てみると初夏の眩しい日差しが輝いていた。

今日も夢世界(ドリームワールド)で患者を救うために、市村は並べられた朝御飯を見ながら手を合わせこう呟いた。

「いただきます」と。

【夢を喰え！“番外編─繰り返す夢─”】end