月刊 HELLO 【４月号】 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:3,365 hit

夢を喰え！番外編『レゾンデートルの花』ページ10

【夢を喰え！番外編『レゾンデートルの花』】

著者：しろかさん(白雪の鴉亭)

少女は町中を適当に歩く。

様々な花が咲いて

様々な人が歩いて

だれも、ダレも、誰も。

私を見ない。

私にぶつかっても誰も知らぬフリ

私をすり抜けていく。

誰か私を見て。

その時、誰かが私を見ていた。

─────

「おはよっす」
「はーい。おはよう！」
「おはよう。カナ」
「おっはー！」

　本日土曜日、夢喰人倶楽部は部室内でグータラと過ごしていた。

　市村が扉を開けると皆は彼女に挨拶をする。
メンバーを見て市村は疑問を口にした。

「何やってるんすか？」
「グータラしてる～」
「あ、そうっすか」

　そう言うと市村は鞄を漁り始めると、一つ箱を取り出す。

「差し入れっす。和菓子、作ってきました」
「おー！あ、だから遅れてきたんだね！」
部長の暁霞琥太郎は納得したように首を縦に振ると市村は箱を開けて箱の中身を見せる。

「今日は桜餅っす。好きに取ってって下さいっす」
「ありがとうございます！」
「やったね！」

　楢崎兄弟はニコニコしながらを取っていき、暁霞も「俺も俺も～」と言いながら取った。
他の部員も次から次へと貰っていった。
市村は嬉しそうな満足した様な顔をして一つそれを取って口に押し当てる。
モグモグと口を動かすとガラガラと顧問のレイラが大量の資料を持って入ってきた。

「あ、レイラ先生！こんにちはー！」
暁霞がレイラに挨拶をすると他の部員も次々に挨拶をして行く。
「おはようございますっす。桜餅をいるっすか？あと、書類持つっす」
そう言いながら市村は書類を受け取り、桜餅をレイラに渡す。
「ええ、ありがとう。皆さん『夢喰い』の仕事が入りました」
それを受け取りながらレイラが何事もなくそう、口を動かすと皆はピタリと体を硬直させた。

「マジっすか」
「あれ、珍しいですね。この時期に」
　生徒たちが次々に感想を口にするとレイラがコホンと咳払いをして注目を集める。市村は貰った書類を部員全員へ回していた。

「『夢魔』の生き残りが適当に取り憑いたと思われます。探偵事務所やカンパニーの方も準備を始めているみたいなのでこちらも参戦しようと思ったのです」

「よっし！久々の仕事だけど！やって行くぞ～！」
暁霞が皆に拳を上げながら鼓舞すると皆も「おー！」と拳を上げた。

　レイラは小さく拳を上げながらこう口を開いた。

「資料の説明をするので座ってください」

　と。