Ep.39 内部者 ページ39
とはいえ疑念が晴れたわけではない。いや、むしろ深まったくらいだ。
「できればお礼がしたいくらいなんだけど……その前にひとつ聞かせてほしいんだよね。もしかしてあなたもあの黒ずくめの連中と関係あったりする?」
『あ……』
「というか、正直言って見当は付いてるんだ」
一息吐いて、耳元で言葉を交わし合う、けれどこの国のどこか分からない場所にいる彼女へ私はまっすぐに問いかける。
「……あなたもアイツらの仲間なんでしょ? 少なくとも、立場上は」
電話の向こうで息を飲む気配があった。
公衆電話からの着信、情報を明かすという行為に対する慎重さ、そしていつまで経っても現れない黒い影。現状、内部者が手を回してくれていたとしか考えられない。
『……どうして……分かったんです?』
「まあ、勘といえば勘かな。一応これでも情報屋やっててさ」
『情報屋?』
「奴ら組織のことを調べてたのは依頼でだよ。けど、今も私が生きてるのは実力や運じゃなくあなたのおかげ……私が死んだように見せかけてくれたんだよね?」
『あ、いえ……大したことは。私は機転がきく方ではないし、たまたま状況が良かっただけで……』
「だとしても助けられたことには変わりないよ! いろいろあるけどいっそ今は全部置いといてさ、とにかく何かお礼がしたいんだ!」
『え? いえ、そんな……! そういうつもりは……』
「遠慮しないで力になれることならなんでも言って! 例えば……組織の足抜けとか、ね」
少し間を開けても返事がないことを確かめて、私は声を落としこう続けた。
「……否定しないってことは、考えてはいたんだね?」
『それは……』
「それなら力になるよ。きっと難しい事情とかあるんだろうけど、あなたはもっと真っ当に幸せになるべきなんじゃないかな」
『……真っ当に……?』
「それに、私を匿ったことでお姉さんが怪しまれてる可能性もある。って言われても信用できないよねえ。よかったらこのあと会って話を……」
『いえ』
そのとき、彼女の短い声が遮った。
小さな声。けれど確かに強い意志を持った芯のある声に、言いかけたセリフが止まる。
少し迷うような間を置いてから、彼女は囁くように語った。
『……私、守らなくちゃいけないものがあるんです。私自身の手で、守ってあげなくちゃ……。あなたの気持ちはとても嬉しいです、ありがとう』
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上坂 - 夢主好き💛 (2023年1月19日 21時) (レス) @page14 id: f311cd81c1 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主好き💜 (2023年1月4日 18時) (レス) @page32 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆(エモジシクジッタタメサイソウイタシマス) (2022年12月13日 3時) (レス) id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - おめでとうございます!!!!!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2022年12月13日 3時) (レス) @page25 id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - はじめまして!ほろにがクラゲ★様いつもの楽しみに読ませていただいております。本当にコナンの世界に出てきそうな感じの夢主さんでこれからの展開にワクワクしております。卒業試験頑張って下さい!! (2022年12月1日 15時) (レス) @page13 id: 33a5069289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年11月25日 16時