メタ推理が役に立たないJK探偵の本懐【名探偵コナン】

Ep.137 謎の殺人事件 ページ37

「ええ〜っ、殺人事件！？」

「うそー！」

「コナンくんもその場にいたんですか！？」

「ああ、まあ偶然な……」

次の日の朝、朝食の席で事件の話をした。

コナンは組織の関わる事件だということでみんなには何も言わなかったらしい。

目暮警部達は深夜、警視庁へ戻った。遺体も運ばれたようだ。

そしてクルーズに関してはというと、日数的に大幅な変更はない。五日目の夕方の着港予定が昼前になったくらいだった。

もしかすると怪盗キッドとの対決を敢行したい鈴木次郎吉相談役の意思もあったかもしれないがそちらは私の知るところではない。

というのも、侵入した犯人が海へ飛び込んだ形跡があったらしいのだ。

しかし船に残っている乗客は乗船時の人数と変わらない。死んだ男がそもそも乗船していないはずの身元不明者だったという点も大いに関係する。

つまり、「外部から侵入した何者かが、同じく外部から侵入した何者かに殺され、犯人は既に船の外へ逃げた」────そういうことになったのである。

「(……ま、どうせ偽装だろうけど)」

「せっかく少年探偵団の出番だったのによー！」

「こんなことならボク達もコナンくんと一緒に行けばよかったですよ！」

「コナンくんずるーい！」

「あのなあ……」

「そこまでにしておきなさい。Aさん、凄惨な現場を見てショックを受けているだろうから」

「え」

灰原さん、それ、私をうまい具合に使ってるだけじゃ……。

……ま、いいか。

「そ、そうだよね……ごめんね、Aお姉さん」

「いや、私も探偵だから慣れてるし……」

もちろんそんなことはないが、三回目だしさすがにショックは薄れてきた。いや、それを慣れと言うのだろうか。

「それで昨日ウチらの部屋で寝泊まりしたのね……」

「ごめんね、何も言わなくて……」

「ううん、いいよ。私たちが心配しないように気を遣ってくれたんでしょ？」

「しっかし運が悪かったわね……謎の殺人事件の現場になっちゃうなんて」

「そうだ！ だったらよ、今日はオレらと一緒にパーッと遊ぼうぜ！」

「名案ですね！」

「歩美もさんせー！ 行きたいとこたっくさんあるんだよ！」

「昨日あんだけはしゃぎ回っといてまだあんのかよ？」

「ま、いいんじゃない？ 気分転換になるかもしれないし」

「……らしいけど、どうする？ A姉ちゃん」

やはりどうにかボックを探し出して問い詰めたい気持ちはあったが、ここで断るのはあまりに無下に思えて、私は黙って頷いた。

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