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Ep.132 反省はしてるけど ページ32

「そうか……」

「……どう思う?」

「どうって?」

「私は……少し、妙だと思う。影も形もなさすぎて」

「……どうだろうな。昨日の話が本当なら、相手が多少警戒してたっておかしくはない。組織から逃げ延びる算段の最終段階だろうからな」

「それはそうだけど」

「じゃあ何が妙なんだよ?」

エレベーターが停止する。頭の中を整理しながら、開いた扉の先へ踏み出す。

「妙……いや、というより……不安なのかもしれない。何も起きないのが逆に不穏なような」

「……まあ、最悪の事態が起きるよりはいいんじゃねーか」

確かにそうだ。

彼の言うことはいちいち正しい。けれど私はどうしても不安を拭うことができなかった。拭ってはならないような気さえしていた。

いろいろ要因はあるが……最も大きいのは、父さんの考えが未だに理解できないという点だ。なぜ私を消そうとしたのか────それが分かれば、今この瞬間に何を企んでいるのか推測のしようはあったのだが。

父さん、と考えてふと思い出した。今度は私から口を開く。

「そうだ。昨日は驚かせてごめん」

「昨日……って、その傷の件か?」

その、と形容された頬の傷にガーゼの上から触れる。

「驚いたのはどっちかって言うとあなた以外の人達だろうけど……とはいえ私も冷静になれなかったのは良くなかったし、とりあえず謝っとこうと思って」

「とりあえずってことは、自分の行動を顧みて何か思ったわけではないんだな……」

「反省はしてるけど……」

「後悔は?」

「してない」

「だろーな」

初めから私の顔色でも見て見当をつけていたのか、呆れたような苦笑いでそう言った。

あ、その顔、見たことあるな。

「……なんで今笑ったんだよ」

「笑ってないよ。じゃ、私の部屋ここだから」

「ああ、そう……」

「……あ、そういえば新一くんはどうして部屋に……」

言葉が止まった。

不自然さに彼も気を取られたのだろう。視界の端でこちらを見るのが分かった。

が、私はそちらを見やることはできなかった。

声をかけられたがそれにも答えられなかった。

もはや自分が何を言おうとしていたのか、何を知りたかったのかさえ忘れて。

部屋の中で人が倒れている。

私はその人の顔を知っていた。知り合いでもないが、その顔だけは知っていた。

息をしているかどうかも怪しいその男は────……

────昨日の夜から私が探し続けている人間と同じ顔をしていた。

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ほろにがクラゲ(プロフ) - 莉久さん» わーありがとうございます❗無理なく書いてるものなので、無理なくお楽しみいただければ嬉しいです٩(*´∀`*)۶ キッド様のキザさ、出せているでしょうか…!?🙄(不安) (2022年8月29日 18時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - こんにちは!なかなか時間が取れなくて、ちびちび読んでたんですけど、めっちゃくちゃ面白いです!素直に言って好きです。大好きです。コナンとも打ち解けて、……これからの展開が楽しみです!キッドがキザッ!好きッ!忙しいとは思いますが、更新頑張ってください! (2022年8月28日 16時) (レス) id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サワーさん» わわっ、最初からずっと…!お付き合いありがとうございます!お飲みくださる方々に楽しんでいただければそれが何よりです、最後まで頑張ります!💪 (2022年8月26日 17時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - ずっと最初から読んでいた小説がついにクライマックス…!これまでずっと書き続けてくださってありがとうございます!これからもご自身のペースで無理せず書き続けて頂ければと思います!私も毎回楽しみにしています! (2022年8月25日 22時) (レス) @page45 id: fbf43580c0 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 推しの財布さん» コメントありがとうございます!段々ややこしくなってきてしまったなと心配していたのでお褒めの言葉とっても嬉しいです…ε-(´∀`*)✨ (2022年7月24日 22時) (レス) @page31 id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年3月11日 12時

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