【名探偵コナン】嘘をつくのが趣味なので。2【トリップ】

Ep.60 刑事か探偵 ページ10

この後の予定が無いことだけが幸いして、とりあえず待っていればいいんだろうという心の余裕を保つことが出来た。

だがしかしバイトがどうとか、人と会う約束とか、そんな人ももちろん沢山いる。やたら手の早い警備に食ってかかる人たちも見受けられるが、ついさっき交番のお巡りさんが来て警視庁へ応援を要請しているのを見たからすぐ捜査も始まってある程度で帰れるだろう。

……でも、駅前だからって流石に早すぎるんじゃないか？普通の人が殺人現場を目撃したとして、はたしてすぐその場にいた人達を留めるよう警備員に指示し、警察に的確な通報をするようなことができるだろうか？

この場にいるであろう犯人を逃がすまいとする執念……そう、まるで刑事か探偵のような…………、



「…………探偵？」



そう口をついた時、無意識にその場を離れ早歩きで人混みの方へ向かった。

コナンくんまでとはいかないまでも、大人たちの隙間をくぐり抜けることなら私にだってできる。

ちょっと失礼、と声をかけながら、テープを張られそれ以上進めなくなる最前列まで出ることが出来た。そこに見えたのは、一旦ブルーシートのかけられた死体らしきものと、制服を着た交番の警察、そして…………



「…………世良ちゃん？」


そこにいたのは、世良ちゃんだった。

……やけにイケメンな私服のおかげで一瞬見知らぬ男の子かと思ったけどそれは言わないことにするよ。

でもそれはそれでまたかわいいよね！！分かる！？しかもそこらの男よりカッコイイんだよね！！すごくない！？あっごめんちょっと黙るわ

彼女は私を見ると目を見開き、呟くようにこう言った。



「……キミは……！」

「どーも。赤面の人魚の時、博物館で会ったよね。…って、捜査の邪魔しちゃったかな」

「……いや、また会えて嬉しいよ。Aちゃん、だったよな？」

「うん、覚えててくれたんだ。ところで何があったの？」



事件に関わりたくなどはないが、世良ちゃんが捜査してるというなら話は全く別である。自然な流れでテープの内側へ潜り込み(※よいこはマネしないでね)積極的に話を聞いてみた結果、おおよそ以下のことが分かった。

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