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Ep.93 誰が受け取るか ページ43

ベルモットのその言葉で二人の視線がこちらへ向く。何故だか体に空いた風穴がひときわ痛んだ。


「どうやら是が非でも口を割らねぇ算段らしい……。まだデータの受け渡しから時間は立っていないはずだ、今のうちに(バラ)して周辺を徹底的に探る」

「えっやだ殺されたくない」


条件反射でそう口にした途端、ジンがわずかに目を見開き、ベルモットはじっとこちらを見た。




あっしまった。そんな状況じゃねえや。問答無用で殺されるとこだわ。

けどなぜだか私の頭には、本能的な恐怖というものが綺麗さっぱりなくなっていた。痛いは痛いし相変わらず逃げたいのは山々なんだけど、なんか……なんだ、これ。悟りでも開いたのか、私は?

もういいや。言ったれ。


「そもそもの話なんだけど、私がデータの在り処を知ってるだなんて誰が一度でも保障したのさ?
内海千世がこんなヤバイ組織にいるなんて想像もしなかったし知ってたらそんな危ないもん誰が受け取るか」

「……驚いたわ、恐れ知らずねぇ」

「………」

「まーだとしてもあんたらはどの道私を殺すだろうね、なんせ二人の顔とこの場所、ジンとベルモットだっけ?コードネームみたいだけど、名前も覚えちゃったんだから。
いやよく考えてみ?理不尽じゃない?
だいたい最初の話に覚えがないのも本当だし割と一般人だし、っていうか安室さん一発蹴るまでは死ねないのに本人ここにいないのかよコノヤロウ」


ここにきてこの重症で、かつてないほどぺらぺらと言葉が出てくる。

恐怖や憤怒に邪魔をされず客観的に自分の状況を見ることができたなら、山ほどの文句も言いたくなるのが当然だろう。最後の一文は超主観の超本音だけど。

喋りながら床に手をつきゆっくりと起き上がる。ちゃり、と足元の鎖が鳴った。



「だいたい――――うわっ!?」

「なんだ……!?」


矢継ぎ早に次の言葉を繰り出そうとした時、突然倉庫の照明が割れた。ほとんど同時にシャッターが派手な音を立てて閉じる。




真っ暗、だ。

あまりに突然の環境変化に唖然とする。

当然、自然現象などではない。二人は一瞬驚愕の様子を見せるも、ほんの数瞬の後に恐ろしく正確な判断を下し動き出した……が、






もう遅い(・・・・)


シャッターは下りきってロックされた。急いで外へ出るには反対側の扉しかない。














半分になった月が、白く夜空に輝いていた。

Ep.94 助かりました→←Ep.92 痛いんだけど



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- 絵上手いですね!話も面白いし! (2018年5月5日 11時) (レス) id: f39fd1d36e (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - えっ!嘘だろ千世ちゃん!いつも楽しく読ませてもらってます!更新楽しみにしてます! (2018年2月18日 0時) (レス) id: 26cba6f424 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 続きが気になる! (2018年2月17日 14時) (レス) id: e15058c5ad (このIDを非表示/違反報告)
星鴉(プロフ) - 面白いです!!続きが気になります!!更新楽しみにしてます! (2018年2月17日 11時) (レス) id: 3edde29704 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きが気になります! (2018年2月16日 10時) (レス) id: 229e64c922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2017年10月18日 11時

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