検索窓
今日:27 hit、昨日:396 hit、合計:1,162,105 hit

Ep.92 痛いんだけど ページ42

銃声が二発、鳴り響く。






引き金を引き損ねたリボルバーの、床に当たった音が反響する。

ぐらり。景色が回り、間を開けず私も血溜りに崩れ落ちた。


右の手と左脚。刺されたようなこの痛みは……、間違いない。二発の銃弾が私の身体を貫いたのだ。




……痛い、いやありえないほど痛いよ、痛いんだけど……





……ちくしょうちょっと慣れてるじゃねぇか!!

被弾慣れなんてしてたまるか!きっとあれだ……脳が痛みを緩和させる物質を生成してるんだ、そうさそうに違いない……!!(意地)


……でもいったい誰が?
手をついて立ち上がる気力もなく、眼球を動かして銃声のした方を見た。

倉庫の入口に立っていたのは、綺麗なシルエットの女性。

異様に整った体付きに、ウェーブしたブロンドの髪。

まさか────ベルモット……!



「あら。このお姫様、随分とお転婆なのね。

こんな女の子に撃ち殺されたなんて、笑いものじゃ済まないわよ?ジン……」


「……邪魔を入れたのはテメェだ、ベルモット」



若干ジンがイラついたのか、ピリッとする空気。


……あの、ごめん。今言うことかって怒られるかもしれないけど、あえて言うわ。




ベル姉様がめっちゃ美しい。


痛みが思ったほどではなく冷静になった分、余計なことに頭が回り出す。
絵面が半端ない。というか組織の中でも上位幹部のこの二人が揃っちゃうってどうなの?私そんなに重要な人材だったの?もう一周回って光栄じゃない?

手元の銃からは優しさの欠片も見当たらないけど、もうなんかベルモットにならハンドガンの二発や三発食らったっていいよ。

駄目だ、ウォッカ来てくれ。女神のごとき魔性のオーラに耐えられない。




二人が何か言い合いのようなものを静かに繰り広げている(あと私が勝手に盛り上がってる)間に、血の上っていた頭は幾分か冷えた。

……おそらく神崎が組織に消されたのは本当だろう。ジンは私にとって、親友の仇、それは間違いない。

だが冷静になった頭でよく見つめ直してみろ。唯一の機会を逃し、三発の鉛玉を受け、足を鎖で繋がれた私が今一人で立ち向かったところで、どうにもなるわけが無い。



ならば私が優先すべき事はなんだ?

よく考えろ。今度こそ間違えるな……。




「……それで、どうするの?この子」

Ep.93 誰が受け取るか→←Ep.91 私も撃つけど



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (548 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1250人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 絵上手いですね!話も面白いし! (2018年5月5日 11時) (レス) id: f39fd1d36e (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - えっ!嘘だろ千世ちゃん!いつも楽しく読ませてもらってます!更新楽しみにしてます! (2018年2月18日 0時) (レス) id: 26cba6f424 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 続きが気になる! (2018年2月17日 14時) (レス) id: e15058c5ad (このIDを非表示/違反報告)
星鴉(プロフ) - 面白いです!!続きが気になります!!更新楽しみにしてます! (2018年2月17日 11時) (レス) id: 3edde29704 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きが気になります! (2018年2月16日 10時) (レス) id: 229e64c922 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2017年10月18日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。