Ep.91 私も撃つけど ページ41
胃の腑に冷水を流し込まされたような感覚に、体が震える。
「……ああ、そう」
もしかしたらこの声も、震えていたかもしれない。
視界が赤く染まりそうなほどただ怒りに侵された私の、呪いとも言うべき憎悪が目の前の人間に向く。
「ああ……そう。じゃあ、お前が、殺したんだ……」
もはや睨みつけようという意識すら消え失せていた。憎い。ただただ憎い。
私の親友を殺した、お前が。
ソイツは吐き捨てる様に笑い、それがまた私の感情を逆なでする。
笑うな。
笑うな。
「ハッ。大層な友情じゃねーか……
殺すか？この俺を……？」
冗談でも言うような調子だった。
確かに"出来るわけがない"などと言われなくとも、少し考えれば誰にだって分かることだろう。
もし私がまともな思考のできる状態であったならの話だが。
「その威勢は認めてやるが……、お前に一体何が出来る？」
「…………何も、できない」
「その通りだ、物分りはいいじゃねぇか。お前は何も出来ずに死ぬ。この場で、無惨にな」
「………………何も……」
だけど、突きつけられた銃口を正面から見るのは、初めてじゃない。
死ぬのも、────初めてじゃない。
そしてコイツは、大切な親友の仇だ。
「─────けど、お前だけは殺す！！」
死んでもいい。殺してやる。
自分の命を初めて心から捨てた瞬間だった。
「チッ……！」
その甲斐あってか、ほとんど意識外で放った渾身の蹴りは、どうにかジンの拳銃をその手から弾き飛ばす事が出来た。
その一瞬で手首を縛る縄をすり抜け、背中のホルスターから『アレ』を取り出す。
あの日帰って見てみたら、寝室のタンスの一番上に入っていたもの。
次の瞬間、ジンのもう一丁の銃と私のリボルバーが、互いの額に突きつけられていた。
「……バーボンの野郎……手を抜きやがったな」
限りなく冷たい目が容赦なく私を捉える。
バーボンのミスじゃない。彼はこの拳銃も見付けたはず。わざと見逃してくれたのだ。
「どうぞ撃てば？私も撃つけど」
躊躇わず指に力を入れた。だって、コイツが死ぬならそれでよかったから。
例え次の瞬間に私も死んでいたって、この引き金は引き切る。
痛みはない。余計な思考もない。ただ「怒り」、それだけだ。
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凛 - 絵上手いですね！話も面白いし！ (2018年5月5日 11時) (
レス) id: f39fd1d36e (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - えっ！嘘だろ千世ちゃん！いつも楽しく読ませてもらってます！更新楽しみにしてます！ (2018年2月18日 0時) (レス) id: 26cba6f424 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 続きが気になる！ (2018年2月17日 14時) (レス) id: e15058c5ad (このIDを非表示/違反報告)
星鴉(プロフ) - 面白いです！！続きが気になります！！更新楽しみにしてます！ (2018年2月17日 11時) (レス) id: 3edde29704 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 続きが気になります！ (2018年2月16日 10時) (レス) id: 229e64c922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2017年10月18日 11時
