Ep.67 生まれ変わっても ページ17
奥の個室に入ってしまえば立石さんの入っている個室の前を通らなくてはいけなくなるし、出口までも遠く大幅タイムロスだ。
それに一番動機が無さそうな人が犯人ってのはお決まりなわけよ。それはメタ推理だから禁句だけど。
証拠はすぐ出てくるだろうね。捨てられたレインコートから服の繊維がさ。今は繊維のひとつから痴漢の犯人も分かるってドラマでやってたよ(・ω<)★
と、ポケットのスマホが震える。見てみるとうっつーから連絡が来ていた。
うつとせ何!?事件!?
Aあっごめん終わったわ
うつとせえっ……
「すまそん」と発言する変な顔の猫のスタンプだけ送ってスマホを戻す。ちょうど推理ショーは終わったようだった。
「……終わった?」
「ああ!キミのおかげでな!前にも思ったけど、やっぱり探偵向いてるんじゃないか?」
「無理。世良ちゃんには生まれ変わっても適わないし」
「いやいや、そんな事ないって!」
そう言って笑うので私もふっと笑みを零す。わざとじゃない、思わずだ。だって安心したんだもの。
……あ、スーパー行かなきゃ。4時からタイムセール…………、って……
「……4時過ぎてるし!?」
────────────────────
時計を見てハッと声を上げた彼女は、頭をかき回して溜め息をついた。そういえば夕飯の買い物に行くとか言っていたような気がする。
「ああ、スーパーのタイムセールかい?それなら今から行けば間に合うんじゃ……」
「卵と野菜は数限りで早いんだよ……あーあ、また来週か」
落胆した様子のAちゃんを見て、いよいよ警戒する要素が無くなってしまうなと思う。
初めて会ったあの日の夜、ボクはこの子の正体が気になって仕方がなかった。「なんでも知っていそうな」と言ったのは比喩でもなんでもなく、起こる出来事全てを仕組んでいるのではないかと言うほどに澄ました声色をしていたからだ。
けど、彼女が何者なのかどこまで考えても辻褄が合わない。いったい何をしたいのか検討もつかないなんて初めての事だった。
「…………キミはさ」
けれど、さっきほんの一瞬笑った顔は、柔らかくて暖かかった。
大好きなものや愛しいものを見る目。
「どんな世界から来た人なの?」
口をついて出た言葉は、呆れるほどファンタジックで。それでもこれ以上、この子を表現する言葉は見つからないんだ。
彼女は、柔らかく口元を緩めた。
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凛 - 絵上手いですね!話も面白いし! (2018年5月5日 11時) (レス) id: f39fd1d36e (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - えっ!嘘だろ千世ちゃん!いつも楽しく読ませてもらってます!更新楽しみにしてます! (2018年2月18日 0時) (レス) id: 26cba6f424 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 続きが気になる! (2018年2月17日 14時) (レス) id: e15058c5ad (このIDを非表示/違反報告)
星鴉(プロフ) - 面白いです!!続きが気になります!!更新楽しみにしてます! (2018年2月17日 11時) (レス) id: 3edde29704 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 続きが気になります! (2018年2月16日 10時) (レス) id: 229e64c922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2017年10月18日 11時