Ep.23 変なリアクション ページ23
口角を上げて微笑むAにコナンも笑みを返したが、Aはそれを見て表情を消した。
「……何か?」
「べつに? ただ、どうしてボクたちのこと知らないフリするのかなーって」
「……」
Aが口を閉ざす。コナンは続けた。
「どうしてそう思ったか、聞きたい?」
「ああ……、うん。聞きたいな」
彼女は否定をしなかった。
僅かに動いた表情は驚きと戸惑いを示していたが、目は好奇心に光っていた。気になる、知りたい、目の中の光がそう語っていた。
「お姉さんは、元太たちがボクを『コナン』って呼ぶのを聞いてたんだろうけど……よく言われるんだ、変な名前って。どうして『コナン』が下の名前だって分かったの?」
「それは……確か、灰原さんが君を苗字で呼んでたから……」
「いいえ、呼んでないわ。あなたの前では」
Aが灰原を振り向く。
「私も不思議に思ったのよ。小嶋くんはあのとき、私たちを続けて呼んだ。それを聞いてあなたはなぜかこう思った。『灰原』は苗字で『コナン』は名前だと。だから私のことを、苗字で呼ばれた『灰原』だと察しをつけた」
「ね? 普通、どっちも苗字だと思わない? 例えば湖に南でこなん、とかさ」
「だからあなたの前では彼の名を呼ばなかった。それなのに知ってたのね。彼の名も、私が彼を苗字で呼ぶことも」
「……わあー……」
「わあーってなに?」
「なんでも」とAは口を噤んだ。
「……変なリアクション……」
「で、他には?」
「もちろん他にもあるよ。さっき蘭ねーちゃんのことを『お姉さん』って呼んだのは、相手が年上だって分かってたからでしょ?」
「そのあと『探偵団のみんな』って呼んでいたけど……あの子たち、あなたに自己紹介なんてしてたかしら?」
打ち合わせをしていたかのように────否、二人は事前に打ち合わせをしていた。事件後、元太らがAへ押し掛けるのを横目に話していたのがそれだ。
それに、休日に知らない街で制服を着て歩いているのというのも別の意味で怪しかった。高一にして補習をサボり旅に出た単なる不良娘なのか、何かこのあたりに用があるのか、関係ないと言われればそうなのだが気になるところもある。
Aはほとんど唖然としていた。浴びた言葉の意味を飲み込んで、理解して、ようやく口を開く。
「わあー……」
「だから『わあー』って何……」
コナンと灰原、二人の声が揃った。
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ほろにがクラゲ(プロフ) - カミレさん» 以前から!ありがとうございます🙏😊✨自分が好きなものをずっと書いてますが、喜んでくれる方がいると思うととっても嬉しいです…!✨ またよろしくお願いします! (2021年11月2日 15時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
カミレ(プロフ) - 以前からほろにがクラゲさんの作品が大好きです。久しぶりに占ツクに来てみたら、新しい作品があってとっても嬉しいです。お話の構成とスピード感、尊敬してます。今回も面白いお話をありがとうございます! 応援してます! (2021年10月29日 14時) (レス) @page14 id: 6ee71cea05 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ふれあさん» コメントありがとうございます!ホントですか…嬉しいです…🥺更新頑張ります! (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 鈴凛さん» コメントありがとうございます!お好きと言っていただけると自信になります…✨✨ (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - snowcatさん» コメントありがとうございます❗あっという間…好み…とっても嬉しいです…😊✨これからも頑張ります! (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2021年9月7日 21時