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"まるでキッドが誰かに変装するのをよく知ってたみたいじゃない?" ……彼はそう続けたかったのだろう。

確かにワタシは、本当は怪盗キッドについてよく知っている。調べたからだ。それどころか怪盗として一度対峙した。

けれど鈴木Aはおそらく違う。怪盗なんかにはあまり興味がなくて、だけどおじさまの宝石を守るために持ち前の気の強さを発揮して捜査に協力する、そんな人間。

だから彼にとってそれが「違和感」になった。

「……キッドが変装の名人っていうのは知ってたの。うちに予告状が届いてるって知らされて、つい最近調べたからね」

「ふうん。どうして警備員がキッドだってわかったの?」

「手袋……、だね」

「手袋って?」

「その警備さんの制服って、皆おんなじ支給品でしょ? 白手袋も。でも一人だけ手袋の縫い目が違ったから……手袋だけは使い慣れたものが安全だったんでしょうね。その場に脱ぎ捨てれば指紋も残るし」

「でも、警備さんが手袋をなくしちゃって急遽用意したかもしれないじゃない」

「元々、最初の段階でキッドが化けるのは捜査員が警備員だろうと思ってたの。同じ制服で同じ仕事、この人数なら紛れ込みやすいからね」

そう言い切って自然に笑ってみせた。嘘をついて笑顔を見せるのには慣れている。コナンくんはしばし私を見つめていたが、やがて納得したようにどこか大人びた微笑をうかべた。

「そっか。すごいんだね、園子姉ちゃんのお姉さん」

「ちょっとガキンチョ! 私だって推理ショーくらいちょちょいっとできるんだから! 推理クイーンの座は渡さないわよ!」

「奪わないわよ」

「あー、でも頭がいいのは確かね。高校ん時、アメリカのなんかすごい大学から直々に推薦が来たとか言ってたから」

「へえー……」

「でも蘭のお母さんには叶わないよね! ほら、ハーバード大学の入試」

「ああうん、確か高校の……」


蘭ちゃんと園子は既に雑談へ突入していた。その会話の後ろで、私はコナンくんの挙動に目をやる。私の視線を感じ取ったのか、コナンくんは再び私を見るとまた誤魔化すような笑みを浮かべた。

……そっか、私、勘違いしてたんだ。

子供ならではの発想? 閃きと想像力による水平思考?

違う。そんなものじゃない。むしろ、真逆(・・)だ。

様々な視点から物事を正しく捉え、段階的に推論を展開し、たったひとつの真実を見出す​───────

驚異的な論理的思考。

それが彼、江戸川コナンの頭脳のあり方なのだ。

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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» こちらこそ続編までありがとうございます!読んでくれる皆様のおかげです……!一生じゃなくていいのでまた着いてきてくださると嬉しいです(笑) (2019年9月28日 14時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 本当に過去編を書いてくれるなんて、、、!ありがとうございます!!一生ついて行きます!笑 これからも更新頑張って下さい! (2019年9月25日 20時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月25日 18時

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