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「た、たしか……そんなことを言ってたような」
「…………」
怪盗キッドの相棒───────そう言われて、キッドは反論の素振りを見せなかった。ということは少なくとも怪盗ヴィオラはキッドに手を貸している。そして今回、この飛行船のどこかに潜んでいて、キッドと共に宝石を盗み出した……。
(怪盗キッドに手下がいるって話はよく聞くが……恐らくそれとは別人だ)
米国から来た謎の女怪盗。もしこの先、キッドと手を組み宝石を盗み出すと言うのなら、それを見過ごすことはできない。たとえそれが誰であっても───────……
「アメリカから……か……」
「なあに、コナンくん? もしかして私がその怪盗だって思うの?」
「え? い、いや、そういうわけじゃ……」
「なぁに言ってんのよ、姉貴が怪盗なんてするわけないでしょ? 理由がないじゃない、理由が!」
「……私、理由があったら怪盗する人間に見える……?」
「あー、まあ……ありえなくはないかなーって」
「こら、園子!」
「冗談よ! 冗談!」
けらけらと笑って園子はAから逃げた。じゃれあう姉妹はまるで歳の差のない友達のようでもあり、きっとあれが心からの本音なのだろうと思わせる光景だった。
……そうだ、これは全てただの推測だ。彼女には動機がない。園子や家族を裏切ってまで、怪盗の共犯を演じる動機が。
「ふふ、なんだか園子ってば楽しそう……Aさんも」
「……いい姉妹だね」
「そうだね! ……さ、コナンくん、そろそろ行こっか。早く宝石返したいし!」
「うん、そうだね!」
飛行船はまもなく大阪に着陸しようとしていた。
一週間前から続き主に関西地方に混乱をもたらした殺人バクテリア騒ぎも、これでようやく集束を迎える。
その事件の最後に現れた、もう一人の怪盗の存在。それはきっと今日限りの邂逅ではないことを、名探偵は聡明な頭脳の奥底で感じ取っていた。
「……今度こそ捕まえてやるよ、怪盗キッド。お前の相棒も一緒にな……」
姿の見えない影に向かって確かに囁きかける。実態のない
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» ありがとうございます!完結しました!よかったです、今回は特に私の自己満だったので、楽しんでくれてる人いるかなー?って心配で…ホントですか!過去編!か、書いてみようかな?? (2019年9月22日 21時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 完結おめでとうこざいます!ほんっとに最高でした!!過去編マジで見たいです…! (2019年9月22日 21時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - パシェロさん» ひゃあありがとうございますー!できるだけ映画に沿えるように…物語に夢主が埋もれるかもしれないんですが…(;´Д`)今後も頑張ります! (2019年9月7日 9時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
パシェロ(プロフ) - にゃんーーー!!((^ω^ΞΞΞ^ω^))これが見たかったー!!映画風の夢小説見たかったんやー! (2019年9月7日 8時) (レス) id: b9096b0156 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - バス停さん» 私必死に金ローしてました() 大丈夫ですかちゃんと画面観れました? (2019年9月6日 23時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月5日 16時