嘘をつくのもまた一興。【番外編】

Ep.凡庸な救済 ページ9

「じゃあね、バイバイ。この世界じゃ二度と会えないだろうけど」


ランドセルを背負い直して走り出すと、後ろから呼び止められた。


私は────振り向かずに、走る。

その場をあとにする為に。「名前は」と尋ねられた気がするけど、未来の変わったこの世界でもう一度会えるかなんて分からないんだから、言ったって仕方ないじゃん？

会うとしたらあれかな、組織関連。……うわっやだそんな再会……。




さて、きっとスコッチの運命は変わっただろう。頭を冷やしさえできれば良かったんだ。降谷さんなら正しい判断を下してくれる。

振り向いても、銃声は聞こえてこなかった。



少しずつ、フェードアウトして行く世界。




そして今更、本当の意味で知る。








ああ、やはりここは、所詮夢の世界だったのだ。



……コナンの世界でコナン世界の夢見るってどんだけ好きなんだよ。我ながらすげぇや。



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿




灰色のコンクリートの上に、白くて小さなものが落ちている。


降谷零は、どうしてもそれから目が離せず、とうとう拾い上げてじっと観察した。


名札、のようだ。先程の小学生が落としていったものに間違いない。



「…………大葉……A、か」



いつか、また会った時に。この名札を、あの子に返そう。


それまでは────……



キッ、とビルの上方を睨み、静かに、確かな足取りで螺旋階段を上り出す。

きっとアイツは生きてる。今頃追っ手を投げ飛ばして銃でも奪っている頃だろう。

あの子に言われたら、不思議とそう思えた。







……────また会うその時まで、決してこの名を忘れずにいよう。




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スコッチ生存END(終わってない)

名札が夢主の本名だったのは偶然。戸籍を変えて組織から逃げてた"こっち"の世界線での夢主が、この時使ってた名前です。

偶然って怖いね！(ﾆｯｺﾘ)
多分このあと現実世界のあむろさんに本名をぽいっと呟かれて「( ＾ω＾)！？」 ってなります。あむろさんも無意識なので「(´-`)？？」ってなる。

別世界の記憶みたいな話が大好きな私。

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