Ep.もしも私が縮んだら ページ5
────雨の音。
地面を打つ強い雨が、うるさく耳に響いていた。
見上げると、路地裏へ吸い込まれるように降り注ぐ雨粒が容赦なく打ち付ける。
私は緩慢な動作で顔を下げ、自分の両の手のひらを眺めて浅い呼吸を繰り返した。
(……小さい)
次に足元を見ると、着ていた服が裾を引きずって水浸しになっていた。
おまけに肩周りも緩いし、靴だって大きすぎる。ぶかぶかだ。
「小さい……」
心の中で呟いた言葉が、とうとう喉を通る。強い雨に掻き消された。
「…………縮んだ……」
呆然と口をついたそれが紛れもない答えだった。
「身体が……縮んでしまった…………」
遠くを見ていた視界が、少しずつ焦点を取り戻す。
無理矢理冷やされた頭が、状況を理解したその瞬間、急に血が熱くなったような感覚を覚えて。
思わず私は笑いだしてしまった。
だってまさか、まさか、この期に及んで!
(────こんなに面白いことになるなんて!)
___________
事の発端は分からない。
FBIの監視下を外れ、新たな名と共に米花町を離れた私は、どこか遠くへ行くでもなく、すぐ隣の街杯戸町のホテルでだらだらと生活していた。
食事は外食か買った弁当。この日の夕飯もコンビニで済ませようとホテルから路地を通ってすぐの青いコンビニへ向かった。
そしたら見つかったよね。奴らに。
うん。組織の情報網舐めちゃあかんわ。
「ってワケなんですけど」
「…………オメーのその能天気さっていっそ衝撃的だよな」
「そうかい?」
上記の出来事が、つい1時間ほど前の話である。
博士の家にまたもお邪魔している私。本来は「桔梗A」だった頃の知人とは関わるべきでないのだけれど、今回は完全に話が別だ。
というわけで人生の先輩江戸川様に助けを求めた次第。
「黒の組織って人手不足なの? なんでジンとウォッカあんなに実務派なの? 組織内でも大物なんじゃないの?」
「ま、まあ落ち着けよ……」
「ブラック企業か!ブラック企業なのか!いやブラックかある意味」
「落ち着けって」
「自分でも割と落ち着いてると思う」
否定はされなかった。
「ぶっちゃけ予備知識あるし今更失うものが無いからかえって気楽でさ」
「気楽」
「安心しきるわけにはいかないんだけど、小一に戻れると思ったらなんか楽しくなってきた」
「楽しくなってきた」
「オウムか君は」
「解せない」
ラッキーアイテム
マスク型変声期
ラッキーキャラクター
スコッチ
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popo(プロフ) - 前にこの作品を読ませていただいて、またまた最初から完結まで読んでしまいました!!番外編のゼロの執行人や紺青の拳の続きが見てみたいです!いつまでも待ってます!! (2023年4月9日 8時) (レス) @page3 id: b53f6e36c7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 雪希さん» コメント気付かずごめんなさい!!嬉しいお言葉に重ねて、リクエストありがとうございます♪素直な夢主ちゃんのお話!これは…面白そうですね(笑)(∩´∀`∩)ではでは近いうちに書かせていただきますので、少々お待ちくださいませ! (2020年4月8日 19時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
雪希 - 神作品を三ヶ月ほど見つけれずにいた馬鹿です。今1から読み始めて番外編にたどり着きました。作者様がまだ活動しているならで良いのですが、リクエストいいですか?もし夢主ちゃんが超正直になったらみたいなのお願いします。題名関係なくなってますねすみません。 (2020年1月28日 18時) (レス) id: ee1ea794b0 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ノルンさん» わわ、ありがとうございます!お待たせしてすみません…(`-д-;)書きたい時に書くだけの自己満足ものにお付き合い下さって、とてもありがたいです…!ヽ(*´∀`)ノ (2019年7月31日 0時) (レス) id: 41e8a6fa74 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 更新お疲れ様です!!!待ってました!!!有難うございます!読めて嬉しいです!! (2019年7月30日 23時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2018年7月9日 23時