【〇〇IのI主役Iは】SECONDｰ我々の日常ｰ Ⅱ【我I々Iだ！】 (ページ9)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:15,272 hit

55．宣言ページ9

｢聞いたか？この国の次期国王…｣
｢あぁ聞いた聞いた！シュヴァルツ様がなるんだろ？｣
｢まぁそりゃそうなるやろ、あの髪ではなァ…｣

シュヴァルツが12歳を迎えたところで、いよいよ本格的に国王が宣言したそうだ。

召使達の話題も随分と著しくなったものだ。
城中は｢王位継承者｣の話で持ち切りだった。
コソコソと陰で私のことを批判する者は決して少なくない。
どれだけ善人ぶろうと、この髪色ではどうにもならないことがある。
聞いても知らぬ顔をしてその場を通り抜けようとした……が、

｢コラ、私語を慎め！｣

｢シュヴァルツ様…申し訳ありません｣
｢失礼致しました｣

｢もう良い下がれ｣

弟の登場だ。
すくすくと育った心優しい弟がそんな陰口なんかを許すはずもなく、通りすがりに叱る。
そんな彼は私に気づいたようで、昔のようにタッタッタッと駆けてくる。

｢兄様！気にしてはなりませんよあんな戯言。僕は兄様こそ次期国王に相応しい人材だと思っております｣

長所の塊のような弟は当たり前かのように私をフォローして笑う。
普通ならその言葉へ向けた感情は大きく二種類…嫉妬か感謝に分かれるのだろうが、
生憎、私の中に渦巻く感情は何も無い、無関心だった。

そして以上の話を以て私は父上は本当の母上から受け継いだこの金色を良く思っていないことを悟った。
母上の髪(金色)は愛さなかった、ということらしい。

｢そうか、ありがとうなシュヴァルツ。お前がそう言ってくれるのは嬉しいゾ｣

心の無い言葉がスラスラ出てくる程に、"俺"は疲れていた。