【〇〇IのI主役Iは】SECONDｰ我々の日常ｰ Ⅱ【我I々Iだ！】 (ページ23)

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69．生唾ページ23

｢イフちゃん結局着いてきてくれなかったけど、許可は貰えたのかな…？｣

机に頬杖をついて唇を尖らせる
前向きに検討してくれる。とりあえず部屋を確保してくれる。とは言ってくれた、だけどそれがその場しのぎの甘い言葉なだけなのかもしれない。
ゾムさんのことも心配だ…。
ため息をつくと、答えるようにして先生が読んでいた本をパタリと閉じて口を開く

｢さぁどうやろうね、前回前々回って前科持ちやからな…ゾムのペット騒動。仏の顔も三度までって言うし…｣
｢先生からなんとか頼めない？｣
｢こればっかりはなぁ…。グルちゃんとトントンが首を縦に振らん限りはどうしようもないで｣

為す術なし。まさにお手上げ状態。
もう一度深くため息を吐いて窓の外を眺める
いつもゾムさんが入ってきてくれた場所だ。
コンコンってノックをして、いつしか絵本で見た忍者みたいに颯爽と現れるのだ。
どうしてトントンさんとグルッペンさんはそれを良しとしなかったんだろうか？
…先生はダメとは言わなかったのに。
目は空に向けたまま、小さく零す

｢先生は誰も悪くないって言った｣

また、空気が変わった気がした

｢…？あぁ、言ったな｣
｢ゾムさんは悪くない。私も悪くない。イフちゃんだって悪さはしてない｣
｢せやな｣

あのとき、聞こえないふりをした言葉を。
私はゴクリと生唾を飲んで、紡いでいく
藍色の瞳をじっと見つめる

｢…“悪い魔法使い”って誰のこと？｣