。 ページ1
.
「卒業まであと1週間か。はやかったなぁ。」
軽音部の部室で、志麻が呟く。
「そうですね。もうすぐ志麻先輩ともお別れですよ。」
悲しそうにAは微笑みながら言う。
その空気を読み取り、茶化すかのようにセンラが、
「志麻くん留年せえへんかったんですか？w」
「せぇへんわ！！ちゃんと３年で卒業しますー。」
センラの一言で、その場の空気がふわっと柔らかくなる。
そこにガラガラガラッッ！！と、建付の悪い扉を勢いよく開けはぁはぁと肩で大きく息をしているうらたの姿が。
「ごめん！委員会の仕事で遅れた！！！」
「あ、うらさん遅ーい！！」
そこに素早く反応する坂田。
「生徒会長は大変ですねぇ。」
「坂田、好きすぎやろwうらたさんのこと。」
そう、いつもと同じ光景。
だが、その光景を見るのもあと三日しかない。
1週間後には浦田先輩と志麻先輩はこの旭ヶ丘高等学校第二十期生として卒業してしまう。
その前にAは志麻先輩に告白しようと考えているがどうも勇気が湧かず、ズルズルと1週間前にまで迫ってきた。
「(今日、今日こそは.....！伝えてみせる！！！)」
「あの、志麻せんぱ(ガラガラ「まーしぃ！！一緒に帰ろ！！」....。」
タイミング悪く、くろちゃん先輩がやってきてしまった。
「おう、ちょっと待ってろ。Aなんかよう？」
タイミング悪く来てしまったくろちゃん先輩に遮られてもちゃんと聞いていてくれた志麻の優しさにAは若干泣きそうになりながらも、
「(そうだよね。くろちゃん先輩がいるもんね。さすがに無理だよ。)」
「大丈夫ですよ！そんなことより、くろちゃん先輩と帰ってください！片付けは私たちがしておくので！いちゃラブしててください！！！」
「ありがとう...？A、なんかあったらすぐ言えよな？あと、ニヤニヤしながらこっちみんな、センラ、坂田。」
その言葉にセンラと坂田は更にニヤニヤを増ながらこっちを見ている。
その姿に呆れたのか鞄を持ち、「じゃ、また明日ー。」なんて呑気に手をヒラヒラと振りながら志麻は部室を出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
