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窓の向こうでしとしとと降る雨を横目に、久しぶりの制服に袖を通す。




重たい足を無理やり動かし、傘をさして家を出た。




公園の前まで来て、あと一歩が進まない。あと一歩であの東屋が見える。




“当たって砕けろ!”




佑亮の言葉が頭の中でこだまする。




大きく深呼吸して一歩を踏み出した。




東屋に目を向けると、拓弥くんはそこにいた。バチっと目が合った瞬間、思わず逸らしてしまい何事もなかったかのようにその場を去ろうとしてしまう。




「Aちゃん!!」




傘もささずに数メートル先にいるわたしを追いかけてきた。




静かに降る雨だが、傘をさしていないと濡れてしまうほどだ。




拓弥くんを自分の傘の中に入れ、顔を上げたとき視界が急に真っ暗になった。




「…会いたかった。」




拓弥くんのふわっとした髪の毛が頬に当たってくすぐったい。拓弥くんに抱き締められ、何が何だか分からないのに自然と手は拓弥くんを押し返している。





「ごめん…。今、少しだけ話せないかな?」




拓弥くんと隣に並んで椅子に腰掛ける。こうやって二人で並んで話すのはいつぶりだろうか。





「さっきはごめん。急に…その…。」





『ううん。大丈夫。』





「俺、Aちゃんのこと待ってたよ。急に来なくなって、正直言うと寂しかった。」





ぽつりぽつりと屋根から垂れる雨に合わせるように、拓弥くんの口からも言葉が続く。





「Aちゃんに聞きたくても、そういえば連絡先聞いてなかったし…。俺、知らぬ間に何かした…?」





『…拓弥くん』





「…ん?」





『この前、祐基くんに告白された。』





「うん、祐基から聞いた。」





『祐基くんと付き合えば、今のこのすっきりしない気持ち晴れるのかなって…。』





「うん…。」





『でも、自分に嘘ついてまで付き合うと祐基くんに迷惑かけるし。だけど、佑亮にも彼女が出来て、拓弥くんだって…。正直、一人でいると壊れそうなぐらい心細い。』





「俺だって…何?」





『…拓弥くんだって、彼女…。』





そういうことか。って、突然力が抜けたように笑い出す拓弥くん。





「はぁ…まじで、嫌われたかと思った…。」

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作者名: | 作成日時:2018年9月18日 8時

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