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その日のバイトはなんだか上の空だった。




「Aちゃ〜ん!お願いします!」




『…』




「Aちゃん?」




『…あ、はい!ご注文は?』




「なんかぼーっとしてるね。…え!?…ちょっと待って。」




ぐっと顔を近づけて、私の匂いを嗅ぎ始める祐基くん。




『…へ?なんですか…』




「祐基、Aちゃんドン引いてるよ…。」




「ねぇ…Aちゃん、拓弥の匂いするんだけど…」




「ごめんね、Aちゃん。こいつの嗅覚、犬並みだから。」




きっと、最後に貸してもらった拓弥くんのパーカーの匂いだろう。




「今日、拓弥休みだったんだけどもしかして…Aちゃんと一緒にいた…?」




『え、いや…えっと…あ、ちょっと失礼します!』




返事に困っていると、入り口で店員を呼ぶ声が聞こえた。




そこにいたのは、数時間前まで一緒にいた彼の姿。




『助かった…。』




「祐基に絡まれてんじゃないかと思って。」




今日はどんどん拓弥くんの魅力が更新されていく日だ。少し浮つきそうになる。




「拓弥!ねぇ、Aちゃん、拓弥の匂いすんだけど今日休んで一緒にいた!?」




「匂いってなんだよ、気持ち悪りぃな。」




「ほら!匂い一緒!」




「祐基お前本当怠い。気のせいだよ。」




一瞬、拓弥くんと目が合ったとき微笑んでくれた。なんか秘密を共有しているみたいで、嬉しい。




「……良かった。A来てた…。」




『あ!!ごめん、佑亮。連絡するの忘れてた…。』




バイト終わりにいつものように待ち合わせ場所に行くと、ほっと胸をなでおろす佑亮が店の前にいた。




先に行くと連絡をして以降、全く携帯を触っていなかった。




「は〜、もう本当心配したんだから。何かあったんじゃないかって。」




『ごめん…ずっと、拓弥くんと一緒だった。』




「そっか。…あれ、拓弥さんから拓弥くんになってる…?」




『うん、友達第一歩。』




「よく分かんないけど、良かったじゃん。」




その日の夜、晴れているのに雨が降っている。そんな変な天気の中、また拓弥くんに会う夢を見た。

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作者名: | 作成日時:2018年9月18日 8時

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