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祐基からAちゃんと何かあったのかと聞かれた。
正直なんの心当たりもないし、むしろ何かあったのかと聞きたいのは俺のほうだ。
「拓弥はさ、Aちゃんのことどう思ってるわけ?」
どう思ってるかと聞かれても、よく分からない。
でも、今こうやってAちゃんと会えない日が続いていることに寂しさを感じていることは事実だ。
「どう思ってるの…?」
「俺は…」
「俺は…?」
タイミング良く授業開始のチャイムが鳴って救われた。
好きか好きじゃないかで言うと、きっと好きだ。でも、自分の気持ちに確信をもてない限り、人にそれを伝えたくはない。
「これから、祐基とAちゃんのバイト先行くけど拓弥も来る?」
「…いや、俺はいい。」
放課後になり、海からの誘いに乗れば、Aちゃんにも会えるはずなのに会ってはいけない気がした。
雨の日だけ会う約束をしているから。またあの公園で会いたいから。
それに、この前祐基と一緒に歩くAちゃんを見た。
祐基に名前を呼ばれたから、その先へと目を向けたのにAちゃんが祐基の手を引っ張って走っていってしまった。
久しぶりに見たAちゃんの姿に、胸が締め付けられた。切なそうな表情が頭から離れない。
「拓弥。俺、本気だから。このままAちゃんのこと悲しませるなら…俺がAちゃんのこと守る。」
すれ違い様に祐基に言われたこの一言に焦りを感じた。
だけど、Aちゃんを悲しませることに心当たりがない。何か俺がした行動がそう感じさせてしまったのだろうか。
……分からない。いくら考えても。
直接確かめたくて、携帯からAちゃんの名前を探した。
「……そうじゃん。俺、Aちゃんの連絡先知らねぇや……。」
だからと言って、会いに行くことはできない。自分の中の変なプライドが邪魔している。
だから、あの公園でいつか会えることを選んだ。
でも、その間に祐基と…って考えても、仕方ないよな…。
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作者名:ま | 作成日時:2018年9月18日 8時