君の心臓の音【Dr.STONE】5.5 (ページ46)

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「！？」
添えられた手に心臓をドキドキ鳴らしてると、手の甲を指でトントンと叩かれモールス信号で言葉を教えるために重ねられたのかと気づく。

あああああ！！また騙されたっ！！

いや騙してるつもりはAはないんだけど！僕が勝手に勘違いしてるだけなんだけど！！

もしAが積極的な子だったら僕の心臓がもたなかったかもしれない…
それぐらいAからのボディータッチは破壊力がある。

「羽京さんがいつもボクにすることをしてみました」
「えっ？」

僕が一つナッツを食べたら一つ気づかれない様にナッツを皿にAは入れていたみたいだ。

「気づかなかった…」

いつもならそんな隙がなく仕返しをするなら今だと思ってとAはイタズラを成功させた子供の様に無邪気にナッツを持ってイシシッと笑う。

何その笑顔つつつっ！？可愛いいいぃっっ！！

「っー…自分で食べないとダメだよ？」
「その言葉、いつもボクのお皿に入れてくれる羽京さんに返します」

その無邪気に笑ってる声をちゃんと聞きたかったな…きっといつもより可愛いくて大きな声で笑っていただろう。

ああぁ…こんな時に耳が聞こえないなんて…
いや、不幸中の幸いか…聞こえなくなったからこの笑顔が見れたなら良しとしよう。

「もう入れたらダメだよ、Aはしっかり食べないと」

わざと隙を作れば耳が治っても同じ事をしてくれるかな…子供みたいに無邪気に笑うAもっと見たいが食べさせたい気持ちもある。

「はい、返品」

Aの口に僕のお皿に入れた分だけのナッツを詰め込ませる。

「ハハハッ、リスみたいだね」

誰のせいだ！とでも言いたげな顔をしながら口の中のナッツを一生懸命食べ終えようとするAに笑みが溢れる。

「今の僕には何を言っても無駄だよ」

聞こえないのを裏手に食べ終え文句を言おうとしてるAに笑ってそう言うと子供みたいにムッと頬を少し膨らませる。

「バカにはしてないよ、リスみたいで可愛いって意味だよ」

揶揄う様にそう褒めるとAは言い返す言葉が見つからない時によくする顔をするので笑っていると、助け舟でも出す様にタイミングよく僕らの前にフランソワがハーブティーを出してくれる。

「ありがとう」

作ってくれた飲み物を受け取り席を立つと自分が持つと言う様にAは両手を差し出す。

「大丈夫だよ、これぐらい耳が聞こえなくても持てるよ」