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「診察室 戻りましょう」
袖を引っ張りモールス信号でAは言葉を教えてくれる。
「座って下さい」
治療室の患者用の椅子にまた僕を座らせるとAは先ほど使った治療道具を片付ける。
「まだ 痛みはありますか…」
そうAが紙に字を書いて僕に容体を尋ねる。
「大丈夫だよ、もう落ち着いた」
僕の血がついたガーゼを見てAが泣きそうな顔をしている。
「Aのせいじゃないよ」
そう言ってもAは自分を責めてしまうだろう。
Aのお兄さんが作った可能性のある機器のせいで僕が怪我をしてしまったのだから…
僕の不注意でもあるのに…
聴覚をやられたせいで、あの機器が何のために作られたものなのか、どこから来たのかもAの家族の石像の行方や安否も何も分からない。
でも…あの時のみんなの表情からして…いい結果ではなかったのは話が聞こえなくても分かる。
「……」
こんな時に支えてあげることも、相談に乗ってあげられないなんて……
「A、それは僕が持つよ」
作業台を片付け、棚の下からAが石で出来た薬研を取り出すので代わりに持つ。
「結構重いね」
Aが持つには一苦労な重さだ。
いつも一人で待っているのかと心配して尋ねると棚から作業台までのほんの少しの距離だから大丈夫だと心配性な僕にAはいつもの様に笑う。
「でも落としたりしたら…」
「今までも大丈夫だったので平気ですよ」
これで薬草を磨り潰すお手伝いを頼まれて、次々とAは保管庫から乾燥させた薬草を取り出し、作業台を薬草でいっぱいさせる。
簡単な説明を受けてAの隣で薬草を薬研で磨り潰す。
ゴリゴリと手に石同士をすり合わせる感覚はあるが、音がしないので出来ているのか分かりづらい。
「これぐらい?」
コクッと頷くAの口元を見てお礼を言われた事が分かる。
不意に話されると全く聞こえないな…
手で耳を塞いでる時の様なゴオオと言う音が邪魔をして周りの音をずっとかき消されている。
Aにその症状を伝えると、この音は�犇擴鮫瓩世修Δ納�るまではずっと聞こえるそうだ。
紙に耳の構造を描いてくれ、字で丁寧に今の僕の状況を説明してくれた時の姿はとても親切で頼もしいお医者さんで、トントンと僕の手を軽く叩いて顔色を伺い疲れてないか心配している今の姿もとても立派なお医者さんだ。
「大丈夫だよ、ありがとう」
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風夏(プロフ) - いつの日か続き楽しみにしてます^_^ (4月8日 22時) (
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作者名：クリーム | 作成日時：2023年12月29日 20時
