君の心臓の音【Dr.STONE】5.5 (ページ36)

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優しいと思ったけど、やっぱりひどいとAは言いながらも千空に安心してと伝える。

「ボクの医学に不可能と言う文字はありませんので、今回がダメでも…絶対に司さんを助ける方法を見つけます。何年かかっても必ず」

スズとナマリが作った医者免許をAは自慢げに千空に見せ千空は少しは成長したなとクククと笑う。

「ボクは立派な医者なので」
「助ける方法でも考えてんのか最年少天才医学生さま」

なんでその世界が勝手に名付けた恥ずかしいあだ名を知ってるんだと嫌そうな顔をAはしながらもいくつか方法があると伝える。

「でもそれは石化装置の復元力頼みです」

もし石化しなければ、今はまだ助けることは出来ないと千空に伝える。

「まず反応するかどうかだがな」
「はい。でも石化はすると思います」

そう言ってAは瓶に入った砂を見せ、薬品様の小さじスプーンで一杯だけ砂を取り出し、ガラス板の上に置く。

「これは銀狼さんの血です」

正確に言えば、着ていたドレスに付着した血が石化した物。それを細かく砕いた砂だとAは説明する。

「これに復活液をかけます」

一滴復活液をスポイトでAが垂らすと、ガラス板の上にある砂は血へと変わる。

「硝酸が混ざるので輸血には正直使えませんが、体内から出た体液ですら反応を示していますので死体にも反応を示すと思います」

石化が進行する髪を引きちぎると石化から逃れられる事、引きちぎった髪は最後まで石化した事。

「髪は爪と同じように肌の角層が変化してできたもの、つまり死んだ細胞が集まったものです。それですら反応を示しているので司さんもきっと石化します」

医学的根拠で説明するAに説得力があると千空はクククと笑う。

「必ず助けましょ、科学の力で司さんを」

ニッと笑うAに千空は「あぁ」と言って治療室を出て行く。

「やっぱり、地図作りは口実だったんですね」

必要な薬液だけ持って外に出て行く千空を追いかける様にAは治療室の扉から顔を出し、いつもの仕返しでもする様にニヤニヤしながら揶揄う様にそう言って千空の眉間に皺を寄せさせる。

「うるせぇ」
「はーい」

まだヘラヘラ笑っているAに千空は少し顔を赤くしながら逃げる様に操縦室へと戻った。

そして…A達は無事に日本へと帰還する。