君の心臓の音【Dr.STONE】5.5 (ページ26)

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夜空に咲く花火はとても綺麗で見るのは好きだ…

ドッーン

この音さえなければ。

耳が良くて助かった事は沢山あった。
今回の花火も耳がいいおかげで千空が今晩打ち上げられるのも分かり室内に避難できた。

ドッーン

「うっ…」

室内にいても鼓膜が痛いほど震える。

「いつもより酷い…」

現代の花火よりも打ち上げられる高さが低いのが原因だろうか…。
目眩と頭痛に襲われ、酷い船酔いを味わっている様な息苦しさに目についたヘッドフォンを咄嗟に装着する。

ドーン

まだ少し聞こえるが、これぐらいなら体に支障は出ない。

「………」

みんなはどれぐらいの音で聞こえているのだろつか…
今だにキーーンとする鼓膜に痛みを感じながら、普通の人はどれぐらいの音量なのか、旋回窓から見る人のほとんどが花火に魅了されている。

ほんとに見る分にはとても綺麗だが、1人で花火を見ていると取り残された様な孤独を感じる。

「…Aと見たかったな」

ここからではAの姿も見れない。
せめて花火を見ている恋人を遠くからでも見つめていたかった。

Aはどんな顔して今花火を見るのだろうか、花火は見たことあるのかな…
花火は好きなのかな…何色が好きなのかな…

打ち上げられてはゆっくりと消える花火を見つめてはAのことばかり考えてしまう。

もし花火が好きって言われたら、我慢してでもAの嬉しそうな顔が見れるならいつもは断る花火大会も行ってしまうな。

Aが喜んでる姿を想像するだけで、頬が上がるし不思議と鼓膜の痛みも柔らぐ。

早く終わらないかなと外を眺めていると、Aが視界に入り驚く。

「どうしてこんな所に！？」

なんでここに僕がいるって分かったのか、なぜ花火をみんなと見ていないのか咄嗟にAの声が聞こえる様にヘッドフォンを外す。

何か言ったのか…Aは不思議に首を傾げて僕を見つめる。

「！！」
ドンッと大きな花火が上がりる。

キィーーーン

突然だったので鼓膜に音が直撃し頭がカチ割れそうになる。

「っーー…綺麗だね」

痛みで花火が何色だったかもわからないが、Aに気づかれない様に笑ってそう言うが、Aは返事をしてくれない。