君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ10)

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Aは別に自分を求めてなかったのかも.
こちらには興味なさそうに話しかけきた龍水と顔を合わせるAを見て羽京は眉間に少しシワを寄せた。

「うん、クロムが必要な薬草を聞いてくれたみたいだし」

龍水と話しているAを見たくないと羽京は背を向けていつもより早めに歩く。

「…いいのか、Aに一言声をかけなくて」

なぜコハクはそんなにも気に留めるのか一般人より少し視力良いぐらいの羽京にはAの寂しそうな表情までは見えなかった。

「龍水と話しているしわざわざ邪魔したら悪いでしょ」

気球に一緒に乗ってからAが自分を避けている様な気がすると羽京はAと龍水が仲良くなった時期もそのあたりだと気づく。

気球での龍水にAは惚れてしまったのだろうか…それなら今までの行動は全て納得いく。

自分といると龍水に恋仲だと勘違いされてしまうと思ってAに避けられているかも…

それなら…仕方がない。

「…なんか、羽京変じゃねぇか」
「あぁ…上の空だな」

二人の会話も耳に入らないぐらい羽京は歩いてはいるが放心状態で、何があったのか心配しながらも3人で探索へと向かう。

「どうした？」

話を聞いていないAに龍水は何を見ているのか目線の先を見ながら尋ねる。

「いつもなら…」

本当に何も言わずに行ってしまった羽京にAは龍水に相談する。

『僕以外の誰かに隣にいてもらって』と言われてしまい、嫌われているかもと思い、それを確認したくて羽京から話しかけてもらえるのを待っていたと伝える。

「…やっぱり…嫌われてしまったんですかね…」

迷惑ばかりかけるから呆れられてしまったのかもとAが泣きそうな声で呟く。

「ちゃん羽京と話せ、貴様の思い込みかもしれんだろ」

「っ…」

思い込みなんかじゃない、明らかに避けられてるとAは思いつつも、龍水の言葉を信じて1週間後を待った。

「今日だ…」

探索チームがやっと帰ってくる日だとAは朝からいつ戻ってくるか村の出入り口の方に何度も顔を向けていた。

「Aちゃん落ち着かないみたいね」

好きな人に会えるのが楽しみなんでしょとゲンは可愛いじゃないと千空と写真の整理をしながら健気なAを見つめる。

「たかが一週間そこらで…」

１年以上離れてたとき思えばクソ短ぇ別れだろと呆れる千空に女心が分かってないとゲンはヤレヤレと千空を小馬鹿にする。